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電脳病毒 #10_201

 その目的のため、香港から電影技術者をはじめ電脳机科学《コンピューターサイエンス》関連の系統工程師《システムエンジニア》、程序員《プログラマー》が多数招聘された。劉もその一人。項目経理《プロジェクトマネージャー》だった。
 劉が研究室で電子郵件の添付文件《ファイル》を開いた時、それが起った。死机《ハングアップ》した台式計算机《デスクトップパソコン》。屏幕保護程序《スクリーンセーバー》の揺晃《フリッカー》のように揺らめく三維圖像《三次元画像》は、屏幕《スクリーン》を拡がりながら燃え上がる。その日輪に似た電脳画刊に、劉は一瞬引き込まれる。リアルだった。実際の焔が吹き出している?焦げくさい臭いが鼻を突く。劉は我に返る。既にその炎は顕示器《ディスプレイ》を包み込む。
「馬鹿な」唖然として劉は立ち上がる。
 周りを見る。内部網《イントラネット》に接続した端末から炎が上がっている。その場にいた学生達も、呆気にとられたように立ち尽くす。焦げた臭気が立ちこめる。顕示器が破裂する鈍い音が続けざまに響く。