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Dead Head #81_177

 三人は交互に顔を見合わせ、小言で呟き合う。
「もう、いい」民事が俺を見て頷く。
「何でここに呼んだ?」
「保護したまでだ」と、民事。
「何から?」
 三人は答えるべくもなく、奥の扉から姿を消す。連れてきた制服が、その家から俺を叩き出す。野宿でもしろ、とでもいうように。
 この街は、知らない街だ。だが、いつものねぐら、あの公園を取り囲む町並みにも似ている。至る所に落書きが浸食している。電柱やポストなど公共物は塗りたくられ、民家の壁や商店のシャッターまでびっしり蔓延っている。ブロークンウインドウ理論?それを地でいくような街だ。
 そこは、どこにでもある小さな児童公園だ。何故か、同業者らしき姿は見えない。滑り台に登り公園を見渡す。観察だ。新しい公園では、いつもそうすることにしている。