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電脳病毒 #52_243

「なんだ?」
「どうなっちゃうの?劉さん・・・」
「劉・・・。そうだな。そのうち仲間に入れてやるさ。委員会に徴用されるとは。予定が少し狂った。まあいい」
「警車《パトカー》が来た。切るよ」
 屏幕は遊技の示威《デモンストレーション》モードに即座に切り替わる。磁気発生装置をポケットに入れ、遊戯場の奥へ薫陶は向かう。
 故障中の札が掛かった影像印刷机《ビデオプリント》の亭《ブース》。そこに入り薫陶は幕を閉める。装置の上蓋を外し、大型背包《バックパック》を投げ入れる。蓋の中、薫陶は潜り込む。子供がやっと通れるくらいの管《パイプ》が伸びている。その中を薫陶は滑り降りる。警官が亭の幕を開けた時には、裏手の路地を薫陶は走り抜けている。
 地鉄《地下鉄》の月台《プラットホーム》の柱の陰。地道《トンネル》の向こうを薫陶は覗く。そろそろ、駅員交代の時間になるはずだ。


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