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Dead Head #50_147

 廊下の奥に進んでいく。狭いリビングルームを見渡す。意外に整理されている。だが、窓辺に見える鉢植えは枯れて久しい。
 廊下を引き返す。伸びたままの若造を跨ぎ、部屋を後に。人は変と思ったろうか。ランドセルを担ぐ俺の姿を見て。
 公園に戻る。いつもの馴染みのベンチに腰掛ける。あの若造が駆け込んでくるのが見える。ベンチの俺を見つけに。携帯電話を耳に当て息席切って近づいてくる。助っ人でも呼んでいるのか?先手を打ち、若造から携帯電話を引ったくる。それをゴミ箱に放り込む。文明の利器に頼るのはよろしくない。
 怒るでもなく、一瞬惚けた顔をする若造。すぐに我に返り、若造はゴミ箱を漁り始める。ゴミ箱に突っ込んだ若造の首筋を掴み上げる。若造は頸を捻り、俺を見上げる。
「機械に頼っちゃいけない」優しく教えてあげる。