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Dead Head #38_135

女は手を振り、裏扉の向こうに消える。

明け方。どこかで鳥が一鳴き。飲屋の裏には鴉しか似合わない。ビール箱の上、寝ってしまった。尻と屈めたままの腰が痛い。腰を伸ばしかけた時、裏扉が開く。あの女。女は俺を見て軽く手を振る。場違いな、たおやかな動きで。
「すいません」腰をさすりながら軽く頭を下げる。女は首を横に振り微笑む。ふと誰かに似ていると。誰だ?白々あけた飲屋街を後にする。
 駅まで歩く。公衆便所に入り、用を足し顔を洗う。この脂ぎった顔。
 駅の待合室に入る。自販機で缶コーヒーを買う。ベンチに座り、うつらうつらと。
 脇腹を誰かが小突く。ビクッとして目を開ける。横を見る。にんまりした顔のヒロシ。
「どうした?」そうか。この笑顔、似ている。あの飲み屋の女と。