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Dead Head #59_156

「納得した?」
「ああ」ソファから立ち上がる。
「嗅ぎ回らない方、いいよ」シャチョーは借用書をファイルに収め、デスクに放り投げる。
「そのつもりはない。警察も事故と処理した」
「あんな古いマンション、人の命と引き替えにはならんでしょう?その残された住人の方によろしく」
 とぼとぼと階段を下りる。一階の出入り口から、ネオンの赤い灯りが漏れて。
 ただの事故だったのか?そうケリを付けてしまえば簡単なのだ。
 飲屋街を当て所なく歩く。つけている誰かを確かめるため。コンビニの店内を覗く。煌々とした雑誌コーナー。たむろする若者達。その間から、壁際の時計。そろそろ時間だ。