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Dead Head #76_173

「事故?どういうことだ?」シャチョーの腕を緩める。
「見ていたのだ。あの子供。軽く追いかけたら、窓から逃げ出した」
「何を見た?ヒロシは」
「それは・・・」
「灰にしようとしたのか?あの抵当を」臭いの記憶。黒く滲んだカーペットの染みを。
「抵当といっても物件の値打ち、殆どないね。問題は上の階だ」
「上の階に何がある?」
 いきなり辺りが明るくなる。振り向くとパトカーの投光器。光の向こうから警官数人が近づく。シャチョーを引き離し、俺の腕をねじ上げる。
「暴行の現行犯で逮捕する」
 いきなり後ろ手に手錠。
「どういうことだ?」警官の一人に向かって怒鳴る。