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#007:アナグラム、順番次第で意味が変わる

マイケル・ジャクソンのデンジャラス・ツアー。

1992年12月、東京ドームにマイケル・ジャクソンがやってきました。マイケルファンの私は居ても立ってもいられず、チケットを入手し、当時暮らしていた関西から駆け付けました。このライブ、私にとってはいろんな意味で忘れられないものなのです。

冒頭、マイケルはステージ下からピンポン玉のように飛び出してきます。突然現れたマイケルに会場は騒然。もちろん、私も「わぁ---!」となったわけですが、その登場以上に衝撃的だったのは、マイケルの衣装です。(※以下の映像はブカレスト版。演出・構成は東京ドームと同じ)

ステージのマイケルは、ズボンの上にパンツをはいているようでした。普通、私たちはパンツをはいてからズボンをはきますよね。もし、子どもがズボンをはいた後にパンツをはいたら、誰もが注意をするでしょう。そう、パンツそのものに意味がなくなるからです。

実際、宇宙人のように見えたマイケルの衣装は、パンツではなく金色のレオタードだったのですが、「パンツが先か」「ズボンが先か」という順番が異なるだけで、見た目も意味も全く変わってしまうことに気がつきました。

並べ替える遊び、アナグラム。

言葉の文字を並べ替えて、別の言葉を作ることを「アナグラム」と言います。歴史は古く、古代ギリシャやローマ時代から楽しまれているようです。

マイケルの場合は言葉ではなく『衣装』のアナグラムだと私は思いました。そして、言葉や衣装に限らず、アナグラムはあらゆる『順番』の組み替えに応用可能だと今では考えています。

例えば、男女の関係は時代とともに変化していますが、昔はお見合いに始まり、結婚してから子どもを産むことが世間の常識でした。しかし、今では同棲は驚くに値しませんし、「結婚しなければならない」という縛りはなくなりつつあります。ある調査では、Z世代(1990年後半から2000年代に生まれた世代)は結婚への義務感はなく、「一人で生きる」という選択は「結婚して生きる」と同等の価値であるという分析がなされています。

作ってから売るか、売ってから作るか・・・。

私たちは、お店に行けばいろんな商品を買うことができます。それはお店に商品の在庫があるからです。大量生産されたものが店舗に行き渡るからこそ、その場で手に入れることができるのです。

しかし、昨今では大量生産の弊害で、売れ残ったものの大量廃棄が指摘されています。特に食料やファッション分野においては深刻です。このような問題もアナグラム的に考えていけば、解決の糸口が見えてくるかもしれません。

具体的には「売ってから作る」という順番に変えるだけで在庫はなくなり、廃棄物は減ります。注文を受けてから作るということは、購入者の好みに合わせてカスタマイズも可能になります。先に資金が入るため、事業者側も動きやすくなります。

一見すると、プロセス上の順番を変えただけですが、結果として商品価値は大きく変わってしまうのです。すでに自動車は、いろんな装備品の組み合わせを受け付けて、販売後に工場で組み立てることが一般的です。住宅もそうですね。このように順番を見直すだけでも『未来思考』のヒントは生まれてくるでしょう。

ビル・ゲイツは『未来思考』!?

ビル・ゲイツは学生の頃、実際には何も作っていないプログラムを「現在開発中であり、間も無く完成する。御社に伺ってお見せしましょうか。」と鎌をかけてチャンスをものにしています。MS-DOSの開発、Windowsの開発においても「できる前に売る」「未着手でも発表する」という行動を取っています。

このやり方に賛否はあるものの、結果的にビル・ゲイツは大成功を収めました。「夢を先に売った」と考えれば、ビル・ゲイツはかなりの『未来思考』の実践者なのかもしれません。


※プロセスと順番について、以下でも触れています。ご参考まで。

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