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史上最大の計画

 2023年も暮れに近づいてきている。
 フィルムさんぽの年末恒例・フィルムガチャ回と忘年会のスケジュールが発表された。

 私は実は昨年末引っ越し作業をしていたので下半期の撮影会には全く参加していない。新居(祖父の使っていた家)が車がないと生活が難しい僻地であるため、普通運転免許取得後12年目で初めて自家用車のハンドルを握り土日祝日に荷物の運搬と運転練習に励んでいたが、納車2ヶ月弱で車庫出しに失敗しボンネットを潰し経済的廃車判断された車を保険屋に無理を言って修理して貰っていた時期である。

 ……悲しいが実話だ。

 現在は運転もある程度こなれて来ており、世田谷くらいなら首都高を使って往復できるレベルには成長している。

 話が逸れた。そういった理由で2年ぶりのガチャ回参加と相成ったわけである。ガチャ回を前編・忘年会を後編として頑張って書いてみたいと思う。



史上最大の計画 (前編)

~第113回フィルムさんぽ(フィルムガチャ回)に参加した件~

カメラエラー0指令


 実は私は過去数回、このガチャ回に参加しているが、結果が著しく悪い。と、言うのも普段は問題なく動いているようなカメラでも年末の悪魔的なものにやられてしまうのか(恐らく寒さが原因ではなかろうか)動作エラーなどが起こることが多く、歩留まりがものすごく低いのだ。
 今回の参加表明時、本来はチェコスロバキアが誇る銘機・フレクサレットVIに35mmアダプターを噛ませてガチャ回に参加しようと思っていたが、主宰から「各フィルムの描写の違いを見る企画なのでできるだけ安定動作をするカメラを使いなさい」と教育的指導が入っていた。
 そこで、約一週間掛けていつものように使用カメラを募集したところ沢山の投票を頂いた。

 「しっかり動くものを厳選しろ」と言われてソ連のカメラが2台出てくる辺り自分でもどうかと思うのだが実際しっかり動くんだからしょうがないだろ。


カズ対E100Gの決闘

 と、言うわけで使用カメラは決定し、当日果たしてどのフィルムが当たるのか。
 まあ電車がちょびっと遅れたりしながらも集合場所の公園で緊張のガチャがスタートした。


 【枠順確定して一言】:予想より若干外だったけど許容範囲内。枠入りは良いほうなので問題ないと思う。

 この「ばっちり」シールが貼ってあるのは比較的よく映るフィルムということ、らしいのだが……


 ところで余談だが実際に商品が出てくる「ガシャ」「ガシャポン」はバンダイが商標を持っており、「ガチャ」「ガチャポン」はタカラトミーアーツが商標を持っている。これらの商標範囲はオンラインゲームやアプリなどのそれとはまた別の括りの為、ゲーム内の同システムにおいては運営会社次第で表記ゆれがあるらしい。余談でした。

 当選したフィルムは……!


 しゃあっ!エクタクロームE100G!!

 
コダックのリバーサルフィルム。本来スライド用のフィルムなのだが、カラーネガプロセスでクロス現像すると鮮烈な色合いとなる。
 フィルムには文句はない。後は上がりが楽しみだ。

 


さんぽするソ連製


 そして晴れたはいいが12月にしては異常に暑い気候の中、わたしの歴戦のKiev IIIが火を吹く。このボディは露出計がほぼ完動という中々珍しい状態なのだが、今回は露出がシビアなリバーサルフィルムが当たったため、念の為大事なカットは単体露出計で合わせながらの撮影だ。
 私はJupiter-11 135mm F4を使う機会が多かった。結構この手の届かないところを「よっ!」と引き寄せるような135mmの画角は好みである。

 道中何故か傾斜のあるルートが多くて割と不満が出ていたが、途中まあ迷子なども出しつつ頑張って撮りきった。

 撮影後、今回は露光不良などがあった場合は主宰からDMが飛んできて個別指導されるという恐怖のイベントがあったようだが、幸い今回は免れていたようだ。(写りが良かった、とイコールではない。取り敢えず写ってはいた、という意味だ)


プリントが来た

 さて、お待ちかねの講評タイムが始まる。いつも借りていたレンタルスペースが、レンタルをやめてしまうとのことで利用できるのが今回が最後とのことで少し寂しさを感じないことはない。
 他の講評場所が横浜駅から結構歩く場所だったり、近場だけどクソ狭かったり、ダンススタジオの地下で光が薄暗かったり、何にもしてないのにスピーカーが降ってきて頭に直撃したり
(※すべて事実)
色々あったが一番ここが無難だったと思う。

 さて、プリントが帰ってきて最初に見るのは……



 そうだね、特記事項がないかどうかだね。

 取り敢えず今回は特記事項なしだったので少しホッとする。(※別に写りがバツグンだったという意味ではない)

 プリントをバッ、と見てみると……

 うん。



 やや黄色みが強いものの、全体的にはきちんと写っている。


 元々黄色っぽいものを撮ると割と鮮烈に映る。

 現行のエクタクロームE100のクロス現像は青を強く映す特徴があるが、それとは大分違った味付けである。


 同一の写真を撮り参加フィルムの人気投票。現行のフィルムに人気が集まった。
 やはりガチャ回は色々なフィルムの作例が一気に見られるので、普段使わない/使ったことのないフィルムの特性がわかり易くて勉強になる。

https://twitter.com/filmsanpo/status/1732723452006846942?t=RIwD1kRthrC5zRkjZ7CMeQ&s=19

 
 実はたまたまこのガチャ回の直前に新しいフィルムが発売されたのだが、この作例もしっかりと拝むことが出来た。

 赤が物凄く強く出るフィルムで、ぶっちゃけポートレートにはあまり向かない。服に綺麗な赤が出ても肌の色味が崩れてしまうような……
 逆光下でシルエット風に撮影すると凄くインパクトが出るのではないだろうか。

 こうして鬼門のガチャ回も無事に終わらせる事が出来た。あれ?まともに撮れたの過去初じゃね???

 人数も多くて活気があった回であった。

 そして「本番」の日を迎える……


史上最大の計画 (後編)

~2023年フィルムさんぽ忘年会に参加してきた件~


五反田GO!GO!GO!


 さて、私がフィルムさんぽ関連のイベントに於いて、一年で最も本気を出すイベントがこの忘年会である。

 この企画は参加者による飲み物・食べ物などの持ち込みが必要となっており、私は以前の忘年会ではワインやビール数本の他、ジンとトニックウォーターを10本ほどスーツケースに入れ、あとカットライムなどを持ち込んで「どこでもジントニックセット」を提供した。マジの話である。
 この手のイベントでは毎回2万円分くらいお酒を持っていくことにしている。東側のカメラなら3台くらい買える

 今回はより緻密な計画を立てており、まさしく「史上最大の計画」となる悪巧みを早くから計画していた。


超兵器AX号

 
 このフィルムさんぽ忘年会では、参加に際するドレスコードとして「デジ・フィルムに関わらず一台お気に入りのカメラを持参すること」というルールがある。先日の納涼会ではContax Iという戦前ドイツのカメラを使っていた。
 会場は当然ながら室内で感度がある程度は必要。前回はISO800+F2+1/50秒くらいで使えていたが、当然ながら酒が入るとブレる。いや私において一概にはそうでもないのだが(※)酒量が増えればやはりピントが合いづらい。

 ※バーで酔っ払いながらチェキ一眼レフ・SL42のSS1/2で撮影したチェキ。
私「酒が入ってる方が手ブレしねえな」


 そこで、ピント精度を上げるために間違いなくお気に入りのカメラでもあるCONTAX AXを持ち込む。なぜならオートフォーカス機だからだ。

 大阪~京都に競馬を観に行った時もバーでこのカメラのオートフォーカスに頼った。

 開放F1.8で1/10秒とかだったかな。結構呑んでる割にはピントが取れている。レンズは精一杯の拘りで東ドイツのM42スクリュー オレストン50mm F1.8をアダプターで取り付けるM42オートフォーカスという悪魔の力だ。
 いや、単純にヤシコンレンズで明るくて寄れるの持っていないのだ。

 ※当日現像が出来ないため後日写真が上がってきたらここに追加する予定


プロジェクト・リキュール


 今回私が企んだ計画、それは。

 通常持ち込むお酒に加え、ジンや副材料を持参して忘年会の会場で直接スタンダードカクテルを作ることが出来る用意である。

 我ながら頭が沸いている。

 しかしこの計画には面白い利点がある。カクテルレシピ上よく使用される副材料を持ち込むため、もし他の参加者の方がメインとなるお酒などを持ってくることにより私の作れるカクテルが増える。卓に酒があればあるほど手札と出来ることが増えるのだ。

 荷物は増えるものの、こんな事もあろうかと、と友人から贈られてきていた競馬場の抽選プレゼントのトートバッグが活躍。


 ノベルティなのだが作りがしっかりしていて大変助かった。
 とはいえ私に一人の持ち込める酒の種類ではジンベースのものを数種類程しか作れない。
 今回の計画を忘年会参加者に予め伝えておいたところ、素晴らしい奇跡が起こった。


侵略する酒飲みたち


 当日の卓の状態が、これ。



 あちらこちらから様々なお酒が持ち込まれてくる。元気玉展開というか、ウルトラ的に説明するとグリッター化展開そのものだ。

 「これが……これが光なんだ!(たぶん違います)」

 こりゃkazさんもちょっと気合入れないとならないぞ。

 前回の忘年会や納涼会からの縁でフィルムさんぽ酒クズ部を組んでいる'マスター' じょーさん他のメンバーで協力して酒販に専念(?)した。

 実はあんまり呑めてなかったりする。


 ブルーアロー。ジンベースの異様に飲みやすい危険なカクテル。


 テキーラサンライズ。たまたま手元に材料があったので作れた。


 食べ物並んでたんだけどスナックくらいしかつまんでねえなあ。


 カクテル類はしっかり人気でホワイトレディや日本酒を用いたサムライや適当に作ったノンアルカクテル〈名前は特にない)などが好評であった。

 いずれも比較的好評をいただけて、持ち込んだ材料はほぼ完売でなによりであった。


 謎のノンアルカクテル(うまい)


シェリー酒は誰れのために


 ちなみに私がカクテル以外に持ち込んだのはシェリー酒である。あんまり関係ないんだけど劇場版で「子供たちは私が見ておくからあなたは現場行ってきなさい」とお母さん的なムーブ取る灰原めっちゃかわいいよね。

 このシェリー酒、私は大好きなので老若男女問わず一人でも多くの酒飲みに知っていただきたいところなのだが、世の中の謎文化の一つに「酒言葉」というものがあり、その酒言葉では

「男性が女性にシェリーを進めると夜のお誘い」
「女性がシェリーを飲むとOK、ブルームーンを飲むと断りの符丁」

という実にしょーもない風習が伝播されてしまっているため女性には非常に勧めにくい。私は美味しい酒を飲むこと、薦めることにそういったウラは持たない人間なのでこういう機会を使って宣伝したいのだ。



 バロン・ミカエラ マンサニージャ。

 シェリーの中では辛口のジャンルに属して、とにかく食事との相性が良い。これにチーズや魚のフライ等を合わせると控えめに言って最高だ。これはストレートで飲むのがオススメ。




 バロン・ミカエラ モスカテル。

 シェリーの中では中甘口のもので、実はマスター・じょーと共にバーで飲んだ時あまりの美味しさに語彙力が破壊されたほどのものだった為持ち込んでみた。レーズンのような芳醇な香りを保ち、やや甘みが強いため私はこの手のシェリー酒は炭酸割(スプリッツァスタイル)で飲むことも多い。

 本来ならこれにレーズンバター辺りを仕込んでおいておつまみに持参しようと思ったが、デスマフィン騒動があったため、手作りの持ち込みは万難を排するためやめておこう、と。

 どちらかと言うとモスカテルの方が人気だったかな。「干したレーズンのシロップのような味がする」という売り文句が受けたかもしれない。


家へ還れ!


 というわけで恙無く2023年度のフィルムさんぽの忘年会をこなした。中には二次会に向かう方などもいるのだが、私は足早に会場を後にした。

 序文に記したとおり、現在私の家は最寄り駅からでも車移動しなければ帰宅することが困難だ。前回の納涼会は開催が土曜日だったため、駐車場の自車内で一泊しアルコールを抜いて帰宅が出来たが今回の忘年会は日曜開催。また翌日には普通に仕事がある。

 実はこれが今回の忘年会の最大の懸念事項であり、
「忘年会に参加しても飲めないんじゃあなあ……」と人間のクズそのものな悩みを抱えていた。そして私はある結論に至る。

「妹に迎えに来てもらおう」

 対価を消費することで最寄り駅まで迎えに来てもらう作戦だ。

 妹も仕事のため、出された条件が「最寄り駅に遅くとも22時に到着している事」。私はアディショナルタイム制を要求したが、最低限の条件として出されていた。
 ま、まあ解散時間がそれほど遅くないし、電車を乗り過ごしたりしなければ大丈夫のはずだ。電車を乗り過ごしたりしなければ。

 幸い電車を乗り過ごす事もなく、無事にタクシー(?)の機嫌を損ねず迎えの時間に間に合った。

 私は酒の話しか書いていないが実は別エリアではカメラや写真の話もしているらしいので、ご興味の出た方は来年参加してみるのもいいかもしれない。その時はぜひ美味しいお酒を持ってきて欲しい


 カメラフリマの様子。わたし?酒持って来るのに一杯一杯で持ってこれるわけねえだろう。

 今年一年大変お疲れ様でした。是非また来年もよろしくお願い申し上げます。


 ちなみに、年が明けたらフィルムさんぽ酒クズ部でバーを襲撃する予定である。

 kaz


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