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「天才を殺す凡人」から学ぶ、組織でのコミュニケーションの取り方

こんにちは。
明けましておめでとうございます。🎍
プロ野球現場で働く理学療法士の渡邉です。

今回の内容は、新年初日に読んだ北野唯我さんの「天才を殺す凡人」という本が、組織内でのコミュニケーションについてとても考えさせられる内容だったので、現場での事例を想定しながら書いてみようと思います。
※記事の内容は本の要約ではなく、あくまで自分の仕事に活かせそうな部分をかいつまんで、自分自身の解釈も含めていますので、実際の本のニュアンスとは異なる部分もありますのでご理解ください。


①多くの人が”人間関係”に悩んでいる

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」
フロイト、ユングと並ぶ心理学三大巨匠の一人、アルフレッド・アドラーの言葉である。

アドラーが言うように、これまでの自分の人生を振り返ってみても”悩み”として思い出されるのは、「対人関係」の問題ばかりである。。。

友人との喧嘩、先輩との人間関係、会社の上司との意見の違い、、、など思い出せばキリがない。
私が病院に勤務していた頃、通勤は電車を利用していたが、帰りの電車では帰宅途中のサラリーマンの人と一緒になることも多かった。
とくに会話を聞くつもりはないが、隣でまあまあ大きな声で話をしているので大体の会話の内容は耳に入ってくるものだ。
そしてその内容の多くは、大抵は会社や上司の「愚痴」だった。
「○○さんにまた〜しろって言われたわ〜」
「あの人が〜って言ったからやったのに、、、」
「あの人のせいで仕事増えてるわ〜」
みたいな内容である。
そして大体、その手の話をしている人達はみんな”疲れている”ように見えた。

私は自分のことを「比較的ストレスを感じない性格」だと思っている。
人の愚痴の話は時々は出てしまうこともあるが、基本的には生産性のない話に終始して時間の無駄になることが多いので、なるべくしないように意識しているし、そのような会話がされている空間にはなるべく近づきたくない。
愚痴を言う=相手に原因がある、としているということは、今ある問題を解決するためには、相手が変わってくれないと解決できない、という状況にしてしまっている、ということになる。
相手がいつ変わってくれるかなんて分からないため、いつまでも相手のことが気になってしょうがないだろう。自分のことだけでも忙しいのに、常時、相手のことまで考えていたら、そりゃ疲れるだろうなと思う。

少し話が逸れてしまったが、このような光景は人が集まるような会社やコミュニティで起こっていて、多くの人が「コミュニケーション」の問題にぶつかっているのではないだろうか。
そしてそれは、多くの選手、監督・コーチ、トレーナー、スタッフが関わるスポーツの現場においても同じである。

②現場では常に周囲とのコミュニケーションが必要

以前の投稿でも何度も書いているが、現場では1人の選手に対して多くの人が関わり合いながら選手のサポートを行っている。
なので業務の中では、常に誰かとコミュニケーションを取ることになる。
朝のMTGでその日の選手のタイムスケジュールを報告するため他のトレーナーと話をし、MTG後には選手のスケジュールの話をしにコーチの元へ行く、そうしているうちに選手が来てリハビリやトレーニングが始まる。
もちろん、同じ時間内に複数人の選手を見ることになるため、少しずつ時間をずらしながら選手のその日の状態の確認、1日のタイムスケジュール、復帰までのスケジュールの確認などを行っていく。
選手によっても朝の時点で1日のスケジュールを知りたい選手もいれば、その都度、指示を出した方が動きやすい選手もいるので、選手に合わせて伝え方は変える必要がある。

病院ではリハビリの時間枠が決まっていて、基本的には患者さんと1対1でのコミュニケーションを行うことができ、おおよそ自分の想定した流れでリハビリを進めることができる。
#もちろんそんな単純な話ではないが

しかし、現場での仕事というのはなかなか思うようにいかないことも多い。
・雨が降ってきて練習場所を変えなくてはいけない
・全体の練習内容によっては、リハビリ組はその時間グラウンドを使えない
・選手から「やっぱりこっちのメニューを先にやりたい」という要望が出る
・リハビリ以外の選手の練習サポートに入るために、リハビリのメニューを急遽変更しなくてはならない



そんなことが日常茶飯事である。
朝きめたタイムスケジュール通りに進む方が少ないくらいだ。
途中でリハビリメニューの変更や時間をずらして対応する必要が出てくるが、どうしても自分1人では対応しきれない場合もある。
そうした時には、他のトレーナーやスタッフの人にリハビリのサポートに入ってもらうようにお願いをする必要も出てくる。

例を挙げ出したらキリがないが、現場では常に誰かとコミュニケーションをとりな
がら、1日のスケジュールを進めていくことになる。

③どこでコミュニケーションエラーが起きるのか?

前振りが長くなってしまったが、上に書いたように現場では多くのコミュニケーションが求められる。
これだけ毎日、多くの人が関わる環境にいると、コミュニケーションエラーが起こるケースも多々ある。
過去5年間、一緒に仕事をしてきた他のトレーナーを見ていて、
「この人コミュニケーション取るのが上手いな〜」と感じる人もいれば
「この人はあまり得意じゃないんかな?」という人もいる。
また、自分は問題なく話ができる相手でも、別の人がその人と話をすると会話が噛み合わない、、、なんてケースもある。

このようなことは皆さんも経験があるだろう。

これまでは単純に『コミュニケーションスキル』の「ある/なし」で決まるものだと思っていたが、今回、「天才を殺す凡人」という本を読み、コミュニケーションには「スキル」だけでなく「才能のタイプ」や「価値観や軸の違い」があるのだと知った。
もしかすると、その部分を理解することができれば、これまで「なんかこの人苦手だな」と思っていた相手ともコミュニケーションを取ることができるようになるのではと感じることができた。

④人の「才能」の種類と「軸」の違い

この本では、人を才能の違いによって以下のように3種類に分類している。

①天才・・・「創造性」を軸とする
独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人

②秀才・・・「再現性」を軸とする
論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし堅実に物事を進められる人

③凡人・・・「共感性」を軸とする
感情やその場の空気を読み、相手の反応を予測しながら動ける人

そして天才・秀才・凡人の三者の関係をプラスの感情とマイナスの感情の矢印によって、以下のように記している。

天才・秀才・凡人の関係

ここで興味深いのは、それぞれが自分以外の相手に対し、別々のプラスの感情とマイナスの感情を持っていることである。
そしてこの三者は根本的に物事を評価する際の「軸」が違うのだと説明している。
また、この『軸が異なること』によるコミュニケーションの断絶は、とてつもなく『平行線に近いもの』になると言っている。

天才・秀才・凡人の「軸」の違い

この「軸」の違いは会話の「主語」が異なることによるという。

『凡人』は、主語を人メインで語り、「人の気持ち」を軸にして、それに共感できるかどうかで話す。

『秀才』は、主語を組織やルールなどの善悪で語り、「知識と善悪」を軸にして”好きか嫌いか”ではなく”良いか悪いか”で考える。

『天才』は、主語を世界や真理などの超越した何かで語り、「存在や認知」を軸にして話し、すべての活力は好奇心や探究心である。

天才・秀才・凡人の7タイプ

たしかに、このように分類してみると会話の中で使う言葉によって、その目の前の人がどのタイプに当てはまるのかが見えてくる。

そして、「この人たち会話噛み合ってないな〜」と感じる人たちの会話を聞いていると、
一方が「なぜ?」という根拠や理由を求めているのに対して、もう一方が自分が「やりたい理由」や「思い」という感情ベースで話をしているケースがある。
まさに典型的な秀才と凡人の噛み合わない会話である。
組織の善悪を優先する秀才からみると、凡人の特にIタイプは「自分の好きなこと」しか言っておらず、ロジックがないように見えているのである。

⑤おわりに

今回、紹介されているような枠組みを使ってみると、すべてではないが身の回りの人たちがなんとなく「あの人はあのタイプかな?」というのが分類できるような気がする。
そしてこれを実際の現場のコミュニケーションの中で活用するためには、ただ分類するだけでは意味がない。
相手のタイプを見極め、相手はどんな価値観を「軸」にして物事を考えているのか?と考え、相手に合わせて適切なコミュニケーションを取ることが必要である。

例えば、相手が利益を優先する『秀才』タイプであれば、感情ベースではなく、「理屈や根拠」といったものを軸として話すのが良いかもしれない。
また、相手が安心感を優先する『凡人』タイプであれば、論理的な話し方ではなく、「周りのみんなもやっている」といったように共感を軸にして話をしてみるのが効果的かもしれない。

もちろん、実際には今回の枠組みに入らないようなパターンも当然あるだろう。
人同士のコミュニケーションとはそんなに簡単ではないだろう。
ただ、今回のような視点から「人」を見てみると、またこれまでとは違った角度からコミュニケーションを考えるきっかけになるのではないかと思う。

今回の内容が現在、人間関係に困っている人や日々のコミュニケーションに苦戦している人にとって、何かの参考になれば幸いです。
以上、渡邉でした。

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