#03 波と海について
波の音がすきです。
ざざんざざんと小気味よい音が心と体を癒してくれます。ただ波を見つめている時間は穏やかで静かな時間です。
そんなcalmな時間を人生の中に持てているだけで、自分のいまこの時の人生は幸福なのだと思います。
波は、日によって表情を変えます。あるときはやさしく、あるときはけわしく。自分の心のうちを映すかのように多彩な表情を見せてくれるのです。
いつまでも、やさしく波を見つめられる自分でありたいと思います。
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海には、色々な人が来ます。
恋人、家族連れ、一人旅、ほんとうに色々な人が来ます。
一人ひとりに人生があり物語があることを想像して、そのほとんどの人と知り合うことができないことに、すこしだけ寂しさを感じます。
海辺でお祖父さんとお孫さんが遊んでいます。その近くではお婆さんが文句を言いながらせっせと泳ぐ準備をしています。それを取り囲むようにお孫さんの両親がカメラで撮影をしています。
その場にいる一人ひとりが海の雰囲気を形作る一員であり、自分のまたその一員です。
そういう意味では、見知らぬ人たちと自分は仲間のはずなのですが、残念ながらそんなことを意識できることはほとんどありません。
海を眺めながら、そんなどうでもいいことに考えを巡らせることがすきです。何度も海に戻ってきたいと思われてくれる、大切な時間です。
それでは、また。
七月二日
東京
最後まで読んでいただきありがとうございます。