「読むこと」の本質は、人を想うことだ【後編】
3日に渡って、「読むこと」を考えてきました。自分の中で少しずつ輪郭が見えてきたので、まとめていきます。
「読むこと」は簡単にできる
誰もがあらゆる場面で何かを読んでいます。文章も漫画も新聞も、食事のメニューや商品のラベルも、色々なものが人に読んでもらうために必死に訴えかけてきます。
いざ発信する側、書く側になってみると、「読んでほしい」「伝わってほしい」という気持ちは、痛いほど分かります。
すべての情報や文章が、「より読みやすく」「よりわかりやすく」「より簡単に」加工されているような感覚があります。
本当に「読むこと」は簡単ではない
前編と中編を書きながら、「読むこと」を様々な解像度で捉えてみましたが、つくづく、奥深く難しい行為だと実感します。同じ読むという行為でも、意味を理解することも夢を見ることもできるからです。
読むことを通して、何をするのか。
読みながら、何を想像するのか。
読むことで、何を変化させるのか。
すべては読む手に委ねられていて、自分の行動と心持ちによって無限の奥行きを見せてくれます。
信頼を集める読み手がいる
noteを書くことに正解がないように、noteを読むことにも正解はありません。
ただ良い読み手と言われる人たちには、共通することがあるように感じます。
教養のエチュードの主催、嶋津さん。
毎月ピックをしているヤマシタさん。
編集部おすすめを選ぶnoteの中の人。
形は様々ですが、彼らに寄せられる想いを言葉にすると、それは「信頼」なのではないかと思うのです。
一言で言うなら、「この人が言うなら大丈夫そう」だと感じられるような状態です。
書き手よりも書き手を想う
人からの信頼を集める彼らの眼差しは、書き手よりも書き手のことを想っているように見えます。
書き手本人が感じ取れない可能性や魅力を提示して、出所の見えない強烈な力で、書き手のことを信頼して推していく。
見返りを求めない善意
配慮と尊重の言葉
責任と誇りすら感じる姿勢
一歩間違えれば押しつけになりそうな善意を、躊躇なく注いでくれる彼らのことを、人は信頼するのだと、強く感じます。
「読むこと」の本質は、人を想うこと
読み手が書き手を信頼すること、さらに後押ししていくこと。その一連のプロセスこそが「読むこと」の本質であり、それは人を想うことに他ならないと思うのです。
「読むこと」を通して、どれだけ人のことを想うことができるのか。
人の気持ちや裏側を想像したり、困難や苦難に共感したり、ときには涙を流す。
書き手だけでなく、登場する人物や読み手である自分のことまで深く想像する。
想う対象になる範囲はとても広く、想うことができる奥行きは無限のように感じられます。
答えも指針もないような世界で、自分が想う人のことを捉えることができるかどうか、読み手にはそうしたことが問われているのかもしれません。
誰の中にも良い読み手がいる
誰にでも想像力が働く瞬間があります。
得意なこと
思わず考えてしまうこと
こだわってしまうこと
ついやってしまうことが、誰にでもあります。その点においては、きっと誰もが良い読み手になれるのだと思います。
文章かもしれないし、絵や音楽かもしれない。あるいはエッセイかもしれないし、コラムや小説、論文かもしれない。
書き手の努力や工夫、苦労や困難を想像することができ、思わず後押ししたくなってしまうような領域が、誰にでも必ずあると信じています。
読み手に必要なのは、少しの勇気
ただその感覚はとても些細で繊細なものなので、確からしさはほとんどないし、他に賛同してくれる人もいないのかもしれません。
そのときに必要なことは、一握りの勇気だと思うのです。
自分の感想を伝えてみる
良いと感じた部分を話してみる
感謝を形にして送ってみる
noteでもTwitterでもFacebookでもLINEでもメール、なんでもいい。長文でも一言でもコメントなし、なんでもいい。
ただ何かの一つのアクションを書き手の人のために起こしてみてほしいのです。
あなたのその一つの言葉、あなたのその一つの行動が、書き手の次の一作をつくることにつながり、そこでつくられた一作をあなたが読むことにつながっていきます。
あとがき
なんの仮説もなく本当に書きながら考えていったのですが、なんとか着地することができました。楽しかったです。
書きながら思ったことは、自分はきっといろんな場所に良い循環をつくっていきたいのだなぁということ。
noteでは書き手と読み手、cotreeではクライアントとカウンセラー・コーチ。そのどちらにも良いことが起きるような循環、運営する側も純粋に喜ぶことができるサイクル。
そういったことのために自分の時間を使っていきたいと思っています。
一人だけでは大したことはできないので、仲良くしてくれる人、関わってくれる人、周りの人たちと一緒に、自由に楽しみながらやっていければと思っています。
どうぞ引き続きよろしくお願いします。
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TOP写真は、cotreeもくもく会での一枚。
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