#13 なんでもない日常について

朝ゆっくりと起きる。もそもそと朝ごはんの準備をする。メニューは、プレーンのベーグルにクリームチーズをつけたものとコーヒー。11時に食べ始めて15分くらいで食べ終わる。食器を洗ったらベランダにある椅子にすわって外を眺める。

木がゆれてこすれる音、鳥の鳴き声、風の音を聴く。なんともなしに晴れた空を眺める。やわらかな風にさわって心地よさを感じる。木をよくみると白い花がついていることに気がつく。鳥が蜜を吸いにきて白い花がはらはらと舞う。花びらは回転しながらどこかへ飛んでゆく。

もうすこし奥をみると雲が流れている。わかりやすい例えが出てこないような形の雲が姿を変えながら飛んでゆく。ベランダの柵の色は白。見える景色の色のバランスが良い。青と白と緑。あとはすこし焼けた自分の肌の色。

木の緑も日向か日陰かで色が異なる。もっというとグラデーションがある。陽に当たった鮮やかな緑と影の中の暗い緑とすこしだけ陽が当たる爽やかな緑。雲の見え方も一つ一つ異なる。真っ白な雲、グレーな雲、白とグレーがまざった雲。空の色もグラデーションしている。水平線に近いほど薄いブルーで、天頂に近づくほど濃くブルー。

自分の外側の世界がグラデーションしているように、自分の内側もグラデーションしている。

視覚から入った光情報は視神経を通り脳へ向かう。耳が音の振動を捉える。鼻が草木の匂いを感じる。昨日雑に洗った髪の毛は不機嫌そうにひん曲がっている。日焼けした肌は皮がめくれ始めている。その下では新しい皮膚が生み出されている。タンパク質やアミノ酸で構成されているから身体、内臓、血液が自分の体を構成している。心臓の鼓動を感じる。1秒と2秒の間に一回ずつ心拍して血液を全身に流している。

自分の内側にも外側にも無限の世界が広がっている。ただ、いまここを感じてるのはちっぽけな自分の一点。それはなんだかとても浅いように感じるけど、その浅さがあるから日々過ごせているような気もする。

何もしてないし、とても簡素な生活だけど、そんななんでもない日常に幸せを感じる。

それでは、また。

2019年7月12日
ハワイ・カウアイ島にて



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