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いま、知財がおもしろい。「Cotobox」が商標登録ナンバーワンの先に見ている景色

オンライン商標登録サービス「Cotobox」をリリースしてから、もう3年以上が経過しました。

利用企業数は2万社を突破し、特許庁に出願されている商標のうち5%が「Cotobox」と提携する複数の事務所を経由しています。

これまで市場を支えてきた大手事務所の取扱件数を追い抜き、現在はシェア率ナンバーワンのサービスに成長しました。

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移転前のオフィスで、メンバーとディスカッションする様子。
間借りしていたオフィスで、『日本経済新聞』や『WBS(ワールドビジネスサテライト)』など、数多くのメディアに取材していただきました。

ただ、これまでのストーリーは、大きな構想の序章にすぎません。

オンライン商標登録事業は、私たちが掲げている「知財のDX」の、第一段階でしかないのです。

“商標登録数ナンバーワン”への道のり

商標権に代表される知的財産権は、取得のハードルが非常に高いのが現状です。

理論的には個人でも取得できますが、適切な権利範囲の設定や、煩雑な手続きの遂行を考慮すると、実のところ弁理士を介さずに取得するのは困難です。

また、弁理士資格を取るのも簡単なことではなく、そのうえ知的財産権の取得までの手続きは労働集約なので、どうしても価格が高くなってしまいます。

弁理士の生活を考えると価格を下げるのは困難であり、それでいてテックを生かしたサービスが誕生しづらい構造もあって、日本の知財マーケットはユーザーフレンドリーではないレガシーな市場になっていました。

私はもともと、大手事務所に勤めていた弁理士です。上記した市場の課題には気が付いていたものの、とはいえ解決策など思いつかず、多少なりとも悶々とした気持ちを抱えていました。

そんな私がサービスを立ち上げたきっかけは、キャリアアップを目的としたロースクールへの留学に遡ります。

スタートアップコミュニティに足を突っ込んでいたところ、リーガルテック領域で会社を経営していた起業家と出会い、知財領域でサービスを起こす構想を得たのです。

知的財産といっても、特許・意匠・著作など、さまざまな種類があります。まずは、それらの権利取得プロセスを簡略化しようと考えていました。

中でも最も事業としてスケールしやすく、ユーザーニーズがあると考えたのが商標です。

あらゆるビジネスのスタート地点には、必ずネーミングが存在します。

これから世界に放たれていくブランドに名前を授けるタイミングは、ビジネスと知財が最初に結びつくタイミングなので、まずはそのタッチポイントでポジションを獲得することを目指しました。

そして商標は、トラブルが発生しやすいものでもありました。

同じ知財でも「特許」と聞くと、それが参入障壁を築き、事業成長を加速させるイメージが湧きますよね。また、何も対策せずに「真似されたら終わり」という緊張感もあります。

しかし、「商標」と聞いても、同じような緊張感が湧かないのが一般的です。「まあ大丈夫だろう」といったイメージを持たれてしまうからか、ビジネスがうまく回ってきた頃にトラブルに見舞われてしまうケースが多々あったのです。

こうした経緯から、大きな構想の第一段階として、商標権のオンライン取得の実現に動きました。プロセスを自動化し、価格を下げ、誰でも簡単に商標権が取れる世界を目指したのです。

今でこそ業界ナンバーワンのサービスに成長しましたが、これまで多くの課題に直面してきました。

例えば、ビジネスモデルそのものが「非弁行為」など現行の規制の適用範囲外ではと、疑いの目でみられてしまったこと。

ベータ版をリリースする以前、リーガルテックサービスの特集の中で、「Cotobox」について触れていただいたことがありました。

業界において画期的なサービスだったので、多くのお問い合わせをいただいたのですが、中には「よこしまなサービスである」という声が少なくなかったのです。

サービスだけでなく僕自身も、弁理士としての品位が疑われてしまったこともあり、そのような声が下火になるまでに数年の時間がかかっています。

疑いが晴れた決め手は、経済産業省の「グレーゾーン解消制度」により、「商標登録出願書類等を利用者自らが作成することを支援するソフトウェアの有償での提供」が、弁理士法第75条に該当しないとの回答を得たこと。

以来、利用企業数と商標登録の申込み数は右方上がりの成長を続けています。

知的財産権の出願数は経済成長に比例しますし、仮に経済成長が横ばいでも商標登録の出願数は増加していく傾向にあるので、今後も「Cotobox」はグロースしていく見込みが立っています。

ネクストゴールは、世界で戦えるサービスづくり

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Photo credit: fabio on Unsplash

知財のDXを実現するにあたり、商標登録のオンライン化はマストです。

実質的な「商標登録サービス」をプラットフォームとして展開している企業はほぼないので、「Cotobox」のシェアがそのままDXの進捗率だといえます。

私の感覚でいえば、シェア率30%が一つの区切りになると思っているので、まだまだやるべきことは山積みです。

プロセスが簡略化され、価格が下がれば、さらに特許庁への出願数が増えると考えられるので、市場を切り開きながらシェアを拡大していきたいと考えています。

インパクトの大きな商標マーケットで圧倒的なポジションを獲得したら、今度は特許や意匠登録のオンライン化にも着手していきます。

創業の原点にある「誰でも権利を持てる世界の実現」に向け、「専門家にしかできない既存の領域」をテクノロジーで狭めていくことが、私たちが最初にクリアすべき課題です。

なお、この課題解決は決して専門家の職を奪うものではなく、職域のアップデートを促し、専門家の活躍の場が高度かつ広範囲な知財領域へとシフトしていくと信じています。

もちろん日本だけでなく、海外マーケットの開拓も進めていきます。

国をまたいだ知財権取得を支援する企業は存在しますが、現状その国の弁護士や弁理士に依頼をするだけの状態なので、ここにテクノロジーを介入させ、全てオンラインで完結する仕組みを構築していきます。

日本の市場でナンバーワンになるのは当然の目標として掲げていますが、そこを達成してから海外に進出するのでは遅いので、そろそろ「Cotobox」をグローバルで戦うサービスにバージョンアップさせる予定です。

バーティカルマーケットで戦っている「Cotobox」は、投資家から「特定領域に特化するためマーケットの広がりが狭くなる」という評価を受けることもあります。

しかし、競争優位性を確立できる可能性が高く、リプレイスされにくいサービスに成長していく可能性が十分にあります。

国内だけではなくグローバルな商標登録支援によりエンゲージメントとLTVが圧倒的に向上しますし、ニッチかつユニークなデータの蓄積により、そのデータで強化されたAIは各国の弁護士や弁理士を魅了していくでしょう。

まずは商標登録サービスで圧倒的なトップの座を築き、それから周辺領域へと染み出していくことで、ニッチ領域で世界のトップになれると確信しています。

手前味噌ですが、レガシーな市場をアップデートさせるだけでなく、世界で戦えるサービスをつくれる、最高に面白いフェーズだと思っています。

全ての権利を可視化し、活用できる世界の実現へ

「誰でも権利を持てる世界の実現」をグローバル単位で実現した先では、「誰でも権利を活用できる世界の実現」を目指しています。

もう少し詳しく説明すると、商標や特許などの知財の価値を可視化したり、それを人に貸し出せるライセンス付与や売買のプロセスを簡略化したり、そこから得られる収入を正しく得られる仕組みの実現です。

ドメインの売買を想像してもらうと分かりやすく、プレミアムドメインの価格が上下するように、権利の価値をリアルタイムで可視化していきます。これを、日本だけでなく世界単位で実現するのです。

知的財産の上位概念には、ノウハウのような「無形資産」があり、これも価値を可視化していけると思っています。

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Photo credit: Austin Distel on Unsplash

プレーヤーの誕生が待たれていますが、まだ理想に現実が追いついていないので、それならば「Cotobox」がやってやろうと意気込んでいます。

ただ、「メンバーが足りていない」という課題もあります。

これまでスモールチームで事業を育ててきましたが、一気にスケールアップするためには、全方位的に人が足りていません。

特に、私が描いた世界を事業に落とせるCxO、PdM、デザイナ人材の助けを借りたいと思っています。来年には海外展開を予定しているので、グローバル視点を持ったビズ人材が必要です。

順調に海外展開できれば、売り上げ数百億円を当たり前に狙えるポテンシャルがありますし、ポジションを獲得すれば事業展開もどんどん広がっていきます。

NFT(Non-fungible token)や デジタルアートが盛り上がりを見せていますが、そうした知財領域のポテンシャルと重要性に共感でき、グローバルなサービスをつくることに魅力を感じる人であれば、エキサイティングな仕事ができると確信しています。

私の話を聞いて、少しでも興味を持ったら、ぜひ以下の採用ページを覗いてみてください。


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