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ジャズ型「全員リーダーシップ」の有効性(山原すすむさんインタビュー②)

みんなで一緒にやるから面白い

お話は続きます。「一人でやるだけじゃなくて、みんなと一緒に面白いことをやりたいんです。同じ興味を持っている人に、一緒にこれやってみない?っていうのが好きなんです」

仕事にしても、そのほかの活動にしても、山原さんの周りにはいつもたくさんの人がいて、いろんなことを楽しそうに一緒にされています。(そもそも「仕事」と「遊び」の垣根があまりなさそうにも見えます)

山原さんの経営されている会社「株式会社FUTURE SPIRAL」のHPには、「高くまで行きたいなら、みんなで上がるのがいいと思う。」と書かれており、ご自身の考え方を端的に表現しています。

一人でやるのもいいけれど、いろんな人と一緒にやることで、思わぬ相乗効果や楽しさが生まれ、お互いに成長していく。私もこういうアイデアにとても心惹かれます。そして、これもやはり「ジャズっぽい」なぁと思うのです。

ジャズバンドを見ていると、メンバーの関係がとてもフラットなことに気づきます。基本的な考え方として、リーダーがいても、みんなで音を出し合って一緒に一つの音楽を創っていく。掛け合いの中からその場で生まれる音楽を楽しむ。時には誰かがソロで出れば、みんなで盛り立てる。みんなが主役で、お互いに対する信頼と尊敬を感じます。

誰でもその人らしいリーダーシップを取れる

山原さんは、早稲田大学でも講師(非常勤)として、学生向けのリーダシップ開発の授業を担当されていますが、その根幹もまさに「全員発揮のリーダーシップ」という考え方です。そして同じアイデアを企業研修などにも導入されているそうです。

誰でも自律性と自分の得意なこと、他者への貢献意識を持って、リーダーシップを取れる。例えば「場で最初に発言する」「率先して場の雰囲気を盛り上げる」「自分が難しいことは支援を求める」なども立派なリーダーシップです。これらもジャズバンドでよく行われていることと重ねて考えることができます。

リーダーシップと言うと、特別なカリスマ性のある人にしかできないもの、と考えがちですが、人それぞれのマインドと強みを生かしたリーダーシップの形があるのだと考えれば、自分にも何かできることがあるかもと思わせてくれます。これは、多様な個性を持つ人たちが一緒に働く場でも、とても有効な考え方だと思います。

そして、全員がそんなリーダーシップを身につければ、メンバーみんなの参加者意識が高まり、場が自律的に回り始めるのも素晴らしいところ。大学では、学生さんたちが自律的に授業の運営やファシリテーションをしてくれているそうで、それがまた受講生の参画意識を高める効果につながっているそうです。

「あなたはどう思う?」で引き出された自律性と貢献意欲

この話を聞いて、私が20代の頃に勤務していた外資系自動車メーカー広報部の時のことを思い出しました。入社して2年目の終わり、他部署から異動してきてすぐの私に、経験豊かな先輩たちが事あるごとに「あなたはどう思う?」と問いかけてくださいました。

もちろんそれは「新人を成長させてあげたい」という教育的な配慮もあったのだと思いますが、一方で本当に私という人間の、拙いながらも自分なりの意見を聞きたいというニュアンスも伝わってきて、びっくりすると同時に、とても嬉しく、モチベーションが上がったことをよく覚えています。

実際にどれほど組織に貢献できていたかはわかりませんが、繰り返し問いかけられることで、自分はこの場にいてもいいんだ、なんとか自分なりに貢献できることを見つけたいと思うことができ、間違いなく私個人の生産性は上がったと思います。

年齢や立場に関係なく、一人一人の持ち味を引き出すことで、その相乗効果の中から新しいアイデアが生まれたり、働く意欲が引き出されたり。外部環境の変化が激しいとか、答えがないとか言われる今の時代だからこそ、そうすべきだからというよりも、生産性を上げるための方策として現実的に有効なのだろうと、私は自分の経験からも実感しています。

その③「ジャズに学ぶイノベーションとは」に続きます。






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