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ジャズに学ぶイノベーションとは?(山原すすむさんインタビュー③)

イノベーションとは組み合わせを変えること

「ジャズの歴史は、創造と破壊、そして新しいものとの融合の繰り返しなんです。イノベーション理論で有名なシュンペンター(経済学者)は『イノベーションとは組み合わせを変えること』と言っていますが、まさにこの点でジャズに学べることは大きいと考えています。私も、いろんなものを融合して、混ぜ合わせたら面白いんじゃない?といつも考えています」

確かに、山原さんの仕事や活動を表す一つのキーワードは「異なるものの融合」と言えそうです。ピアノ×コーチングだったり、屋久島リトリート×リーダー研修だったり、一見意外とも思える組み合わせによって、今までにない価値を生み出しているように思えます。ちなみに山原さんがリーダーを務めるジャズバンドの名前は、文字通り”Mix Elements”(要素を融合する)といい、音楽活動にもこのような考え方が反映されています。

例えば、山原さんが主催されている「ピアノマリアージュ」(生のピアノ演奏を聴きながら、投げかけてくださる問いをもとに自分を見つめたり、他の人と語り合ったりするワークショップ型のイベント)に参加すると、ピアノとコーチング、両方が見事に溶け合って、なかなか他では体験できないような心地よい場が作られていることを感じます。

ここにも私なりの視点を加えさせていただくと、ただ異なる要素を組み合わせるだけではなく、どちらも内発的動機に基づくもの、自分の思いを込められるものを組み合わせることが、質の高いイノベーションを生み出すための大事なポイントと言えそうです。

自由さと型を行ったり来たりしてイノベーションを創出する

そしてイノベーションを考えるとき、もう一つジャズから得られるヒントは「自由さと型を行ったり来たりすること」だと言います。

ジャズには理論(型)があります。その型が創造性を縛るのではなく、むしろ型があることによってクリエイティビティが発揮しやすくなる面がありそうです。型をベースに、あるいはちょっと型からはみ出そうとすることで、自分らしく、そして人にも伝わる音楽が生まれる。これは、私もジャズをやっていて本当に面白いなと感じる点です。

これをビジネスや仕事の話に応用してみると、もちろん自由で、今までにない発想から新しいものは生まれるのですが、それを広げていったり、社会の中で価値を生み出したりしようとすると、やはりビジネスの型(プロセスや枠組み)も有効であるということになるのだと思います。

ジャズと同じように、「自由な発想」と「既存の型」を行ったり来たり、「既存の型」を考えるからこそ、「突飛」ではなく、いろんな人がそこに思いを重ねられる、真に「自由」なものができる。

型というのは先人たちの知恵の蓄積でもあるので、それをうまく使いこしつつ、あるいはそれを乗り越えようとしつつ、自分なりのオリジナリティをどう加えていくか、というところに、イノベーションの本質があるように思います。

音楽活動で育まれた自己信頼と他者信頼で未知の世界を切り拓く

最後に、私が山原さんとお会いするといつも感じることがあります。それは「みんなで一緒にやろうよ」という人に対する温かさと、「自分ならなんとかできる」という自然体の自信のようなもの。

つくづく、自己信頼と他者信頼はつながっているのだな、と感じます。そしてそれはきっと、音楽を通じて自分と向き合い、また人とのつながりの素晴らしさを感じてこられたからこそなのだろうと、私は思っています。

明確なロールモデルが見つけづらくなり、一人一人がどう働き、生きていくのかを見つめ直すのが今の時代だと言われます。山原さんのように、アート活動で培われる「自分を信じ、仲間と一緒に未知の世界を切り拓く力」は、ますますこれから有効になってきそうだなと、あらためて感じています。

【山原さんの会社のご紹介】
株式会社FUTURE SPIRAL

「人や組織が共創しながら学び、成長することで成果を最大化する。」を理念に、アートや音楽、リトリート、コーチングなどいろんな要素を取り入れながら、クリエイティブな研修プログラムを提供しています。



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