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地域と人との関係性のデザインしたい。カヤックLiving、移動型サテライトオフィス@紀伊半島。

11月から12月の上旬まで、カヤックLivingは紀伊半島に約1ヶ月間の移動型サテライトオフィスを開設し、企画運営をしている「紀伊半島はたらく・くらすプロジェクト」をおこなっています。

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移動型、と称したのは、紀伊半島のなかでも3つのまちを10日間ずつ移動しているから。目的のひとつは、「紀伊半島ではたらく・くらす」を自分たち自身が体験するため。もうひとつはみんなの「紀伊半島ではたらく・くらす」のコーディネートをするためです。

都市部から総勢50名ほどのひとを、紀伊半島に連れていって、働きながら暮らしを体験してもらおう、というこの企画。なんか紀伊半島が気になるという人から、出身者、関わりたいと思っている人、さらには移住を考えている人まで、それぞれの暮らし方、家族構成、働き方にあわせて、気のおもむくままに「地域での暮らし」を味わってもらうプロジェクトです。

なぜ私たちが地域で「はたらくくらすプロジェクト」?

カヤックLivingは移住スカウトサービス「SMOUT」を運営している事業会社です。「暮らしをつくろう」というビジョンのもと、好きな暮らしを自分の軸で実現していく人をサポートしたいと思っています。

移住の地として話題になりやすい「紀伊半島」を舞台にした、このプロジェクト。もともとは、「紀伊半島移住プロモーション事業」という三重・奈良・和歌山の三県合同の委託事業を受託したところからスタートしています。委託事業ではありますが、関係人口創出と移住促進の事業に1年半取り組んできた私たちにも思うところがあり、そのポリシーに基づいて今回のプロジェクトを企画をさせてもらいました(メディアパートナーとしては五島列島でリモートワークの実証実験経験のあるBUSINESS INSIDER JAPANさんにご指導、ご協力いただいています)。

私たちが今回取り組んでいるのは、「地域と(都市部の)人との関係性のデザイン」。それをおこなう上で大事にしたいと思ってきたことを紹介します。

地域と人との関係性のデザインは、行く前から始まっている。

今回のプロジェクトにおいては、紀伊半島の3つのまちを、暮らしを体験する拠点としました。三重県・尾鷲市、奈良県・下北山村、和歌山県・田辺市の3つの市村です。都市部からのアクセスが良いか?と問われると、必ずしも、YES!と即答できるところばかりではありません。そして知名度があるか?と問われるとそれもYES!ではないでしょう。

だからと言って、その地域に向かおうとする動機をどこに置くかというところに(何かと比較して)「お得」「手軽」といった基準での選択要素は排除したいと考えました。具体的には現地までの交通費と滞在費はすべて参加者負担とすること。移住関連ツアーにおいては交通費の助成が出たり、いくらか通常よりも安い金額で誘われる事が多いと思います。SMOUTの事業でも私たちはそこのサポートは行っていませんが、それでも「行きたい」「関わりたい」気持ちで現地に足を運ぶ人がいることを知っていたし、そのほうが現地での関係構築が濃密になりやすい、と感じていました。行く前の心の持ちよう(お互い)が中期的な関係構築に影響を及ぼすのではないかと。ゆえに力を入れるのは、「行きやすさ」の設計ではなく「関係性のデザイン」。「そこで生まれそうな地域との関係性」が参加動機となり、この企画の魅力となると信じました。関係性のスタート地点を揃えるため、参加者の全額負担というわかりやすいお金の力を使ったにすぎません。

奈良県下北山村は、三重県からのアクセスが便利という、とてもアクセスがいいとは言い難い場所ですが、こんなふうにたくさんの人が集まってくれています。

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コミュニティ間をどのように繋ぐか。繋ぐ人と繋ぐコトの重要性。

私たちが紀伊半島で用意したものは、宿泊拠点としてのゲストハウスと働ける場所としてのシェアオフィス。平日ももちろん日程に入っているため、リモートワークができる仕事環境は大切です。また家族、夫婦での参加もあるため、宿泊環境も用意しなければなりません。

昨今のシェアリングサービスで言われているとおり、こうした共同での暮らしや体験は、地域とも、家庭とも、家族とも異なる「コミュニティ」の形成にはとても有効で、それだけでも多くの刺激を受ける体験になると思います。けれども、地域への移住や関係人口を考えたとき、都市部からの参加者が集う(現地のゲストハウスで地域の人が訪れるとしても)だけでは足りない。現地のコミュニティと繋ぐコトと人をいかにして多くつくり出すか、を考えました。

雑誌『ソトコト』の編集長、指出一正さんが「関係案内人」と称しているものに近いかもしれません。3つそれぞれのまちで、繋ぐ人として地域おこし協力隊、現地の移住者などを募り、パートナーとして協力いただくことにしました。そして、もうひとつは私たち自身がその間に入ること。カヤックLivingのスタッフ3名が「関係案内人」、つまり「繋ぐ」役目として現地に入っています(サテライトオフィスはそのために開設したとも言えます)。

もうひとつはコトの設計。私たちがプロジェクトと呼んでいるものですが、地域に必要な人を呼ぶ参加型の仕事&暮らしプロジェクト、地元の人との交流会、地域の漁師さんに魚の捌きかたを教えてもらう暮らし体験、めはり寿司を地元のお母さんに教えてもらう、など、ここの暮らしと仕事をその土地の人と一緒におこなえるプロジェクトを複数用意しました。

時にその土地ではとても普通のことで面白いと思っていなかったことが、都市部から見たときには面白い。あるいは、その逆もしかり。SMOUTという事業を通して、200以上の地域の700以上の地域と都市部を繋ぐプロジェクトを見てきた私たちは、主役は地域の人たちだけど、外からの目として、時にアドバイスや編集のお手伝いができるサポーターとして、この「紀伊半島はたらく・くらすプロジェクト」に関わっています。

まだ開催中ではありますが、現地のコミュニティと参加者のコミュニティが混ざり合って化学反応がうまれつつある現地の様子をダイジェストで。



続いて、ご夫婦で滞在された方の漫画レポートです。尾鷲での滞在が夫婦にもたらした変化が紹介されています。


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今夜開催される地域の人たちとプログラム参加者の交流会準備が着々と進んでいます!鹿肉とか美味しそう、、🤤 @takayasu_local Twitter より https://twitter.com/takayasu_local/status/1197788960388313088

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奈良県下北山村の「SHIMOKITAYAMA BIYORI」にて。地元のお母さんに、下北山村でしか採れないという塩漬けした“下北春まな”で、ご飯を包み込む“めはり寿司”のつくりかたを教えてもらっているところ。山仕事のご馳走だって。大ぶりの丸い葉は、肉厚なのに柔らかい口当たりで、ちょっとお醤油をつけていただいたら、美味しかった!( 増村江利子さんFacebookページより)


本当はこのプロジェクトがすべて終わって、いろいろなレポートが出たあとに記事を書くつもりでした。でもこの上の写真の表情が良すぎて・・・今回のプロジェクトのことを早く紹介したくなって、中間レポートとして出すことにしました。

★地域と人との関係性のデザインは行く前からスタートしていること。

★行ってそこにいるだけでは関係性は始まらないこと。

★地域と人との間の繋ぎ手となる「人」と「コト」が関係性を生み出す上では重要であること。

カヤックLivingとしては、この実証実験でもあります。

この企画を通してだけじゃなく、私たちが「SMOUT」というオンラインのプラットフォームを通して、また日頃地域とのやりとりを通して取り組んでいるのは「地域と人との関係性のデザイン」なのかもしれません。地域と地域に関わりたい人の関係構築のあり方を提案/デザインしていくことで、各地域の関係人口をつくりだす後押しをし、その方法を地域と共有、渡していくことだと考えています。

紀伊半島と参加者との関係性はまだはじまったばかり。3つのまちでのプロジェクトが終了した12月中旬には、今度は渋谷で参加者と地域のひとが集まって報告会のようなイベントも予定しています。「紀伊半島はたらく・くらすプロジェクト」をきっかけにが紀伊半島に思いを寄せる時間が増えて、再び足を運ぶ人が出て(今度は仲間や友人を連れて)くれることを願いながら、ポートランドで「私も行きたかったのに!!!!」と叫びながら、これから開催される、和歌山県田辺市からのレポートも楽しみにしたいと思います。

ここに速報が流れていますので良かったら覗いてください。

そして、紀伊半島はたらくくらすプロジェクトの参加してくれている皆さん、本当にありがとうございます。面白いことがあったらぜひ教えてください(noteで紀伊半島はたらくくらすプロジェクトのタグをつくっておきます)。

そして最後に、紀伊半島カヤックLivingサテライトオフィスで、鎌倉と仕事をしながら、地域と訪れてくる人とを繋いでいる名取さん、木曽君、かすみん、ありがとう。

カヤックLivingの話を聞きたい方、地域について雑談したい近隣の方がいらっしゃいましたら、あとしばらくサテライトオフィス開設していますので、お声がけください!



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