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スタートアップの広報に必要なスキルを考える【フェーズ別】2024年版

ここ近年、スタートアップが上場を急ぐことなく、早期上場よりも確実に成長をという傾向が高まっている。市場の不透明感、変動の激しさもあれば、一方で、上場せずとも資金を集められるようになっているという背景に起因しているという。このスタートアップの環境変化から、2024年のスタートア
ップ広報に求められるスキルも変化してきたと感じている。

ちなみに私自身は広報を20年ぐらい生業としており、スタートアップ広報の支援、顧問などもやっているものです。

というわけで、2024年版・フェーズ別に広報に必要なスキルと素養をまとめてみたい。採用の参考、転職の参考にしてもらえればこれ幸いです。


シードステージの広報に必要なスキルと素養


このステージで、広報を専任で入れよう!という会社はほぼない。さすがに広報の大切さを認識している私でもこのステージで広報入れましょうとは言えない(笑)。が、シードステージはとっても大事。これについては「広報に必要なスキルと素養」とは話が脱線するのでこのnoteの最後に「シードステージの広報のあり方」としてまとめることにする(シードの経営者の皆さんは目次から飛んでください!)。

アーリーステージの広報に必要なスキルと素養


いわゆるシリーズAを迎えるぐらいの企業。事業がPMFをして、ここから本格的に行くぞ!というタイミング。調達に動いている、ということは、それなりにメディアやステークホルダーの注目を集め始めている時なので、広報からすると、わりと動きやすい時期、つまり成果を出しやすいおいしい時期、とも言える。このフェーズのメインの仕事は、プレスリリース、メディアアプローチ、コーポレートサイトや自社メディア(SNSなど)の運用。
とは言え、基本的に人が足りていない、まだ人を潤沢に入れるほど予算がある状況でもないので、ここで広報を置く場合には検認になりやすい。そんな背景と仕事の内容から必要なスキルと素養は以下の通り。

必要なスキル
・基本的な文章力/コピー力
・コミュニケーション力
・処理能力(マルチタスクに対応できる)

素養
・コミュニケーションが好き
・ポジティブ
・柔軟性(広報に捉われず臨機応変になんでも動ける)

効いてくる広報以外の経験(広報以外の職種からの転職)
・営業

ミドルステージの広報に必要なスキルと素養


いわゆるシリーズB。機能と組織の拡張。いずれ大きくなったときに向けてブランディングとかも気になり始める時期だったりもする。また人が増え始めて社内広報とカルチャーという言葉が聞かれ始める時期(一部企業、ここのメインは次のステージ)。ここで広報をほぼ選任で置こう!という組織なり代表は、ここ近年、増えているように思う。が、まだまだ言ってもそこまで広報としての仕事は多くはないのが、この時期。リリースの本数もそれほど多くはない(多事業展開している場合は別)。
ゆえに、社内から、社外からネタを見つけてきて仕事を創出したり、「広報」という枠に捉われる事なく、目的(会社のファンを増やす、
応援者を増やす、いい空気感を醸成する)達成のためならさまざまなトライをすることができるし、やってみる必要がある時期でもある。
noteの運用だったり、リリースだけではなく企画の持ち込みだったり、交流会に足を運んでリレーションを広げたり、コーポレートサイトのリニューアルだったり、そんなことが仕事では登場しがちだ。
そんな背景と仕事の内容から必要なスキルと素養は以下の通り(前ステージに書いたものは引き続き必要だが省略)

必要なスキル
・企画力
・情報統合能力
・社内コミュニケーション力(プレゼンス力)
・プレゼンテーション力
・ディレクション力

素養
・アイデアマン、企画が好き
・メタ認知ができる
・役割を演じることができる

効いてくる広報以外の経験(広報以外の職種からの転職)
・企画職

その後の広報に必要なスキルと素養


いわゆる、シリーズC、Dそして、上場後。冒頭に書いた通り、上場をはやまらず、ここを丁寧に過ごす企業が増えている。つまり上場していないが、シニアなスタートアップとでも言うか、社内には歴戦の猛者が集っている会社が増えている。ちょっと前であれば、ひとり広報で上場まで行きました!アーリーから広報やっていて会社のことなら誰でも知っています、という上場直後の広報さんも多かったのだけど、最近はもう少し熟練のスキルと経験を持った広報が必要になってくるシリーズC、シリーズDの会社が出てきていると感じている。そして、このフェーズは、まだまだ人はたくさんは広報には入れられないケースが多く、つまりプレイングマネージャーができる(大企業ならマネージメントに徹しているであろう人が)ことも求められる。もしアーリーステージから広報をやっていた人がそのまま続けるのであれば、一度事業を経験するなど知識と経験を何かで習得し成長を早める必要が出てくるケースも多い。事業部側や他のバックオフィスに経験豊かな中途転職者がたくさん入ってくるため、事業や採用を理解しながら折衝していく必要があるからだ。
大企業の広報さんにとっては上場前のスタートアップに転職できるチャンスは増えているとも言えるし、若い広報さんにとっては成長機会がスタートアップでも広がっているとも前向きに捉えられれば言える。

そんな背景と仕事の内容から、必要なスキルと素養は以下の通り(アーリー、ミドルステージに書いたものは引き続き必要だが省略)

必要なスキル
・プロデュース力
・編集力
・調整力
・全般のビジネススキル
・事業ビジネス力(財務ビジネスを理解する)
・マーケティング力
・ストーリーテーラー力
・マネージメント力

素養
・周りを巻き込んでいける人間力
・事業と組織への興味関心
・真っ白なキャンバスに絵を描ける
・肝が据わっている(リスク時など)

効いてくる広報以外の経験(広報以外の職種からの転職)
・編集
・起業家
・事業経験者

最後に。シードステージの広報のあり方

このステージで頑張るべきは、創業者(経営者)本人だ。創業者が、広報とは何たるものか、広報とメディアの関係性、メディアリテラシー、広報と営業(マーケティング)など、広報を理解し、広報に関する予備知識をつけ、ひととおり広報というものを感覚で掴むこと。

それによってアーリー以降の広報パーソンの採用や、広報セクションの立ち上げがとてもスムーズにいく。一方、それを理解している代表のもとで働く広報は活躍できるし、働きやすい。

実際にこのステージで私が相談を受ける場合には、代表と二人三脚で、代表に広報の考え方をインストールしていくことになる。OJTごとく、一連のリリースなどを通して代表に動いてもらいながら、広報のお作法や知識を説明しながらフォローアップする。ここで時間がない!と言って、誰かに託すより、自身が動きます!と動いてくれた方のほうが、実際にその後見ていると、広報を上手に経営に活用しているのが見てとれるので、そっちをおすすめしている。忙しくても!


さいごに、全ステージの広報に必要なスキルと素養をまとめて一覧しておきたい。

必要なスキル
・基本的な文章力/コピー力
・コミュニケーション力
・処理能力(マルチタスクに対応できる)
・企画力
・情報統合能力
・社内コミュニケーション力(プレゼンス力)
・プレゼンテーション力
・ディレクション力
・プロデュース力
・編集力
・調整力
・全般のビジネススキル
・事業ビジネス力(財務ビジネスを理解する)
・マーケティング力
・ストーリーテーラー力
・マネージメント力

素養
・コミュニケーションが好き
・ポジティブ
・柔軟性(広報に捉われず臨機応変になんでも動ける)
・アイデアマン、企画が好き
・メタ認知ができる
・役割を演じることができる
・周りを巻き込んでいける人間力
・事業と組織への興味関心
・真っ白なキャンバスに絵を描ける
・肝が据わっている(リスク時など)

以上。
ここにあげたスキルや素養は、あくまで、私個人の視点なのでこの限りではないことはご了承ください!

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