精神科系の診断について思うこと
最近、自分でも「どうしてこんなことに?」と思うような、ものの見事な思い違いでの失敗を連続した。言われた言葉を鵜呑みにしてやってしまったり、確認したのに間違いに気が付かなかったり。周囲を巻き込んで大騒ぎになってしまった。
「どうしてそんな間違いをしたのか?」と聞かれても、自分でもわからない。
「そういうミスをよくするの?」と聞かれても、何も答えられない。「しません」は既にやらかしているのだから意味をなさないと思ってしまうし、「いつもやらかしそうだから気を付けています」は「やらかすひとなのね」と思われそうで…
誰か!私の失敗のメカニズムを説明して!!!と思ってしまう。自分でも怖くて仕方がない。二度とやらないために、メカニズムを知って対処したい!と思う。
以前から、ADHDの傾向はあると精神科で言われていて、最近自分ではASD傾向も強いのではないかと感じている。
診断がほしい!と言うのは間違っているのかな?私は10年以上前に双極性障害の診断を受けているけれど、その時も同じことを悩んだなあと思い出す。精神科系の診断につきものの悩みなのかもしれない…
<目次>
・未受診のひとが言われがちなこと
・診断がほしい理由
・診断を受けるメリット
・診断を受けるデメリット
・「楽になりたい」は悪いことじゃない
◆未受診のひとが言われがちなこと
発達障害に限らず、精神科系の悩みを持つひとが、「診断がほしいなあ」とつぶやいた時に言われがちなのがこう言う言葉↓
・気のせいだよ
・気に病み過ぎじゃない?
・そういうひと多いよね
・(グレーゾーンの場合)治療受けられないならなにも変わらなくない?
・対処法だけ真似すればいいんじゃない?
・わざわざ診断でレッテル貼らなくても…
もともと反りが合わないひとではなく、仲が良く理解し合えていると思う相手からも結構言われる。じゃあ、どうして私は診断がほしいのかな?
◆診断がほしい理由
考えてみるとこんなことが浮かんだ↓
・失敗や悩みの理由を知りたい
・困りごとへの対処法を知りたい
・同じ悩みを抱える仲間がほしい
・支援者がほしい
・自分の努力不足じゃないと思いたい
説明できない失敗、周囲と同じようにしていても起こる失敗、注意していても暴発する失敗。これらの謎を解き明かしたい。そして安心したい。いつも自分の不足を責めるのはつらい…
誰か助けて…
◆診断を受けるメリット
じゃあ、実際に診断を受けたらどんないいことがある?というのを、自分の双極性障害や、子どもたちの起立性調節障害の診断について考えてみた。「よかったな」と思うのはこんな感じ↓
①ひとに説明する時の「共通言語」が得られる
②治療を受けていることで前向きな印象を与えられる
③対処法、ライフハックが見つかりやすくなる
④「甘え」的な非難から身を守ることができる
メリット①ひとに説明する時の「共通言語」が得られる
精神科系の病気はとにかく説明しづらい。誤解もされやすい。だから医学というデータに裏打ちされた科学の言葉で説明するのは説得力がある。例えば「不登校の理由を学校に納得してもらえる」とか。
メリット②治療を受けていることで前向きな印象を与えられる
精神疾患をそうと認識せずに見ると、大抵「だらけている」「怠けている」「悪い方へばかり考えている(どうにかしろ)」と見えるもの。そんな後ろ向きの印象を、治療を受けるという前向きな印象へ変えられる。
いやいや、本人は初めから「どうにかしたい!」って思っているんだってば!というのはさておき。
メリット③対処法、ライフハックが見つかりやすくなる
困りごとがいつまでたっても繰り返されるのは、根本的に解決されていないからであり、本人への負担は相当重大。診断を受けて理由が解明されると、解決策も一緒に見つかることが多い。「共通言語」によって検索語が見つかる、とも言える。
冒頭で「診断がほしい」と言った時に「対処法だけ真似すれば?」とも言われると書いたけれど、この手の困りごとはやたらと具体的なことが多い。具体的な困りごとには具体的な解決策が必要で、それは症名や病名によって全然違う(と本人は感じる)。
全然違う対策をこれまで散々やってきたのが今なのだから、もはや「はっきりさせて!!」と叫びたいことは正当だと思う。
④「甘え」的な非難から身を守ることができる
「甘えてるんじゃない?」「気のせいじゃない?」この手の精神論を振りかざすひとには、徹底して科学的に説明するのが効果的。
結論:権威者のお墨付きは素晴らしい!(笑)
◆診断を受けるデメリットについて
①型にはめてしまうリスク
②過剰な配慮を受けてしまう
デメリット①型にはめてしまうリスク
病気と人格は違うのだけど、診断を受けることで例えば選択肢を狭められてしまったように感じてしまったり、人生が単調に見えてしまったりすることがある。診断によって自分を型にはめてしまって起こること。
違うよ。どんな診断名でも、あなたはあなたなんだよ。
リスクは意識して避けることができる。診断によって自分が変わるわけではない。診断は選択肢を増やすためのもの、ちょこっと助けてもらうためのものということを忘れずにいれば避けられるリスクだと思う。
デメリット②過剰な配慮を受けてしまう
「過剰な配慮」なのか「単に排除したいだけ」なのかはわからないけれど、選択を奪われる場面は少しあるように思う。日本の精神科領域の理解はまだまだ。過渡期はゆるーく乗り切ろう。
◆「楽になりたい」は悪いことじゃない
精神科系の病気は生活に溶け込んで意識しづらい。そのために、本人はほんとうにいろいろな決まりや方法を編み出して、どうにか普通に生活しようとがんばっている。必要に迫られてそうしているのだけど、それで全てが解決できるわけでもなく疲弊していることが多い。
なんでこんなに生きるのはたいへんなんだろう。
「楽して生きたい」「楽になりたい」はそんな状況からのSOS。それも結構必死な。
診断はこれまでたったひとりで背負ってきた症状の荷物をおろすもの。あなただけじゃないよ、助け合おうと声をかけること。
診断を受けるのは悪いことじゃない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?