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だーれも来ない居場所がにぎわうようになるまで。

私は、2019年の秋頃から「はらっぱとそらプロジェクト@千葉松戸」という団体を主宰しています。ひきこもりや不登校、ホームスクールなどの「充電中」の方とご家庭の心と情報のサポートをしています。


きっと必要なひとがいるから…と1年半

資料の郵送サービスなどの情報提供の活動のかたわら、「やっぱり外出の練習や出かけ先がリアルに必要ではないか」と思い、居場所の活動も始めました。

U30充電中のこども・わかものの居場所<はらっぱ>
充電中のひとと関わるひとの<ごちゃまぜはらっぱ>

はらっぱとそらは、3人の我が子の不登校やホームスクール、その最中や後のひきこもり状態をきっかけに立ち上げた団体です。決して支援者にはなれないと思っていて、当事者や当事者の親からのちょっとした支えや想いの「お裾分け」の活動のつもりでやっています。

我が子の様子を見守る中で、「今、こんなものがあればいいのにな」「あの時、こんなものがあったら救われたな」と思ったものやことをちょっと自分で作ってみて、やってみて、それをお裾分けしています。

だから、居場所も「あの子が来られるような場所」「この子が来てもいいなと思える場所」を作ってみたのです。「きっと我が子のようなひとが他にもいる」という確信もあったので、その方へお裾分けできたらいいなとも思っていました。

「誰も来ない居場所、やってます」

しかし、どなたも来ないのです。それはそうです、「家から出にくい方」を対象にしているのですから。

ひとつ訂正するとしたら、「我が子は」来てくれていました。母がひとりで心細そうにしているのを見かねたのと、ごちゃごちゃしている我が家とは違う、広い綺麗な和室でゴロゴロできるという理由でした。

でも、我が子3人の中でも最もひきこもり度の高い子は来てくれませんでした。今日は具合悪い、誰か来たらどうしよう?、何を着ていけばいいの?、夜寝てないから今から寝るの、理由はさまざまです。

居場所を始めて、「あそこで居場所をやっている」の情報が必要な方に届くにも時間がかかります。知っていただいて「じゃあ行こうかな」と思うまでにも時間がかかります。そしてその日の体調や気持ちにも波があります。

待つしかないのだ、待っていたらきっと人が来るようになる。そう信じて1年半。どなたも来ませんでした。

どなたも来ない居場所を開きながら、なんだか笑っちゃう日もあり、泣きたい日もあり、もういい加減に「どなたも来ない居場所をやっています」という肩書きにしようと考えたのが昨夏、2023年の夏でした。

「恥ずかしい…辞めたい…閉じよう」

ここまで読んでくださって、「ひとりでたいへんだなあ」と思ってくださった方がいらっしゃったら、ごめんなさい。そうなのです、私はひとりではないのです、「チームはらっぱ」という運営仲間が私にはいてくれています。

多忙な日々の合間を縫って、意見やアドバイス、応援をくれる仲間が私にはいます。「まつど市民活動サポートセンター」という強力な頼り先もあります。そこで出会った「まつど地域活躍塾」の仲間や「まつど地域活躍塾つながりの会」という市民活動の会も、私には大きな支えになっています。

仲間からもらった意見やアドバイスを、できることから取り入れても行きました。でも、どなたも来ません。

夏には肩書を「どなたも来ない居場所をやっています」に変えようなんて、振り切っていた私が、だんだん「どなたも来ない居場所をやっているなんて恥ずかしい」と思うようになっていきました。

「恥ずかしい」は厄介な感覚です。恥ずかしいものは隠してしまいたくなる。隠したくなるから相談できなくなる、相談できなくなるから打ち手を無くす。打ち手を無くすから行き詰まる。

行き詰まって息詰まった私は、仲間に話すこともできずに「もう辞めよう、閉じよう」と思うようになりました。来月は市民センターの予約を止めてしまおう。

でも、仲間に話せないから、辞めることにも躊躇します。また来る月も予約を入れました。そうしたら、来てくれた方がいたのです。

にぎわうようになりました

はらっぱとそらプロジェクトは、「ひきこもり応援ネット」という当事者、支援者、行政の連絡会にも参加しています。そこで、「生きづらわーほりプロジェクト」をいう老舗の団体の方が話されたことがありました。

「ひきこもりの方を対象にした居場所は、1年とか1年半とか開けて誰も来なくて、諦めてもう辞めようと思った頃から人が来始めます」

その通りになりました。おひとりだった参加者さんが、次の月には3人になり、次の月には6人になりました。

「〇〇でポスター見ましたが、次回の開催はいつですか?」
「郵送サービスで資料をもらっていたんだけど、やっと居場所に来られたわ!」
「初めて来てみました」
「今日は子どもが行けそうって言うから来てみました」

わいわいと居場所を開けて、閉室時間にみんなで片付け、荷物を引っ張って歩いて帰る帰り道に、一緒に来ていた我が子が「今日はいっぱい来たね!」と飛び跳ねるようになりました。

私は何も特別なことはしていません。いつも通りお部屋を予約し、告知し、準備して、開けて待っていただけです。待ち続けていました。それだけなのに、「続けてくれてありがとう」と言われる日が来るなんて思ってもみませんでした。

来てくださった方が、来てくださった方同士でお話が弾んで、楽しそうに手を振り合って帰られるときなどは、閉じなくてよかったと本当に思います。私が作った場でひととひとがつながる。しあわせです。

というわけで、大したことが書けるわけでもなく、おもしろいオチがあるわけでもない話ですが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

また来月も再来月も開けています。

最近のはらっぱの様子はこちらから↓


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