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1本、1枚、ひとつ…助数詞の使い方を楽しく学習するアイディア

10年以上、4か国で、様々な国籍や年齢の生徒さん日本語を教えてきましたが、
つい最近まで、どうしてこれは教科書に登場するのかな?と思っていた項目があります。
ひとつ、ふたつ、みっつ、というものの数え方と、一本、一冊、一枚、のような、助数詞を使った数え方です。

教えるときの言語は英語、という環境で教えてきましたが、
ものを数えるときに使う特別な言葉、というのは、英語にはありません。
何でも、one book, one hamburger, one car というように、数字と物をそのまま言えばいいので、数えるときだけの言葉なんて、何それ?ってなります。
ましてや、その数え方が、形や長さ、大きさ、モノのカテゴリーによって異なるなんて、信じられない! とびっくりされます。

数多く存在する助数詞、覚えにくいひとつ、ふたつ、という数え方、
いつ使うかも分からないし、繰り返し発音してるだけでもつまらないし、
どうしてこれを教えないといけないのかな?
「イチ、リンゴ」「サン、エンピツ」と言っても、伝わるからいいのでは?
という思い込みから、教科書に登場したら、さらっと触れて紹介するだけにしたり、
そのページは割愛したりしたりしてきました。

そんな考えを改めるきっかけになったレッスンがあります。
今年の初めに、とある日系企業のカナダ人マネージャーさんに、日本語を教える機会がありました。
全10回のコースでしたから、日本語や日本のビジネス文化を楽しく知ってもらうことを目標に、クラスを構成しました。

やはりビジネスの中で、数字は大事だろうと、数字に関するトピックに時間を割きました。
その中で取り入れたのが、助数詞です。
自動車製造関連の企業だったので、「台」はぜひ覚えてほしかったのですが、
その他の例として、「本」「冊」「枚」「匹」など、いくつかの助数詞を例として挙げました。

すると、日本に駐在された経験もある一人のカナダ人の方が、
「生ビール、中ジョッキ、一本!」と言えばいいんだよね?
と発言されたのです。

そこで私は少し違和感を覚えて、
ジョッキに入ったビールは、「一杯」のほうがいいですね、と伝えました。

するとカナダ人の生徒さんはみなさん目を丸くして、
どうして?!となるわけです。

同じビールでも、ビンという細長い形態の容器に入っているなら一本、
ジョッキに注がれているなら一杯、
という言い分けが存在するのです、
と教えると、わーーーお!って、とても盛り上がってしまって、
それぞれの助数詞に当てはまるものを、次から次へと推測して、
助数詞クイズみたいになってとても楽しかったのです。

なるほど、助数詞は、英語にはない概念だからこそ、
学習者にとっては不思議でおもしろいんだ、と、気づかせてもらったのでした。

それ以来、数え方もきちんと教えよう、と決めたものの、
ひとつ、ふたつ、みっつ、一本、二本、三本、って繰り返しているだけでは、楽しくない。

そこで授業中に自然に出てきたアイディアを紹介しますね。
そのレッスンの生徒は、10歳の女の子でした。
いつかお父さんとお母さんに日本に連れて行ってもらえることを夢見て、日本語を勉強しています。

まず、日本でマクドナルドに行く設定にしました。
大好きなクロミのハッピーセットがもらいたいからです。
以下、会話形式で再現しますね。

・・・・・・・・・・
私:お父さんとお母さんは日本語が話せないから、あなたがオーダーしてあげないといけないよ。
お父さんとお母さんが食べたいものをオーダーしてね。

生徒:ビッグマックをひとつと、エッグマフィンをひとつと、ハッピーセットをひとつください。

私:お母さんが、みんなの飲み物のストローもらってきて、って頼んだよ。

生徒:すみません、ストローを、三本ください。

私:食べてたら、お父さんが飲み物こぼしちゃった!ナプキンをもらってきて、って言ってるよ。

生徒:すみません、ナプキンを、十枚ください。

私:お父さんが、まだおなかすいてるから、もっと食べたいって言ってる。たくさん注文してあげて。

生徒:ビッグマックを、ふたつください。
・・・・・・・・・・

このように、実際にありえそうなシチューエーションで助数詞を使う練習をすると、
学習者にも使い方が想像しやすく、記憶に残る楽しいレッスンになります。

他にも、レストラン、洋服の買い物、本屋さんなど、いろいろなシチュエーションと、それに合わせた助数詞を組み合わせることによって、
いくつかのパターンを準備することができますね。

さて、今日は前述のクロミが好きな子が来る日です。
毎回クロミのTシャツを着てくるので、
クロミのTシャツは何枚ありますか?って聞いてみようかと思います。






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