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歌が泣いた

チョンさんが、「この歌を日本語で歌えるようになりたい」と、

千昌夫の名曲、「北国の春」の歌詞を持ってきました。

歌詞は、日本語と中国語で書かれています。

「北国の春」は、歌詞が忠実に中国語に翻訳され、中国人にも愛されているそうです。

チョンさんは、中国からカナダに移り住んだ移民です。

1月から、私の教室で、日本語の勉強を始めました。

どうしてこの歌を知っているのですか?と尋ねると

お父さんがよく中国語で歌っていて、

もともとは日本語の歌だと知って、ひらがなを読む練習のついでに歌えるようになりたい

と、もうずいぶん前に亡くなったというお父さんを思い出すように、教えてくれました。

私は、ひらがなと漢字のまざった歌詞を、すべてひらがなになおしてチョンさんに見せました。

ひらがなを勉強したばかりのチョンさんと、2週間かけて、

すべての歌詞を読み終わりました。

初級の文法事項や、濁音、半濁音、助詞の「は」は「わ」の発音になることなど、

意外と多くのことを、歌詞から学べました。

やっとすべての歌詞を読めるようになって、意味も分かるようになったので、

YouTubeで「北国の春」のカラオケを探して、いっしょに見ました。

ひらがなを追いながら、何度も一番の歌詞を繰り返して見ました。

ちょっとひらがなに自信がついてきたので、

今度はいっしょに、千昌夫、私、チョンさんのみんなで歌いました。

あのふーるさとへ、かえろかなー、かーえろおかなーー

最後に向けて気持ちが高まるところは、やはり名曲です。

かーえろうかな~

と歌いながら、

チョンさんがお父さんを偲ぶ気持ち

チョンさんのお父さんが、中国北部のふるさとを思いながら「北国の春」をよく歌っていた気持ち

わたしの、ふるさとは南国ですが、今はなかなかふるさとにかえろうかな~といっても帰れない気持ちが

重なって歌声に乗った瞬間が、空間に満ちたのでした。





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