カナダ在住日本語教師が垣間見る、生徒たちのハイスクールライフ
前回の記事では、「〇〇は日本語で何ですか?と聞かれたら」と題して、教科書や単語リストに載っていないことを尋ねられたときの対応方法を紹介しました。
日本語を教えていると、生徒さんの生活が見えてきます。
ハイスクールに通っている生徒は、会話の中心はやはり学校のこと。
よく聞かれるのが、教科の日本語の単語です。
英語、フランス語、数学、理科、歴史、体育、美術、音楽などの科目は、教科書に出てくるのですが、
カナダのハイスクールでは、他にもいろいろな科目が開講されています。
心理学、法律、政治、経済、ラテン語、スペイン語、ヨガ、ビジュアルアート、コーディングなど、日本では大学で初めて接するような教科を勉強している生徒もいます。
また、他にも楽しそうな教科があるので紹介します。
Mural Art
Mural Artとは、建物の壁や塀に描かれる壁画のことです。
授業では壁画を描く手法やデザインを学び、実際に町の中のどこかの壁に壁画を描きに行くそうです!
Film
毎回の授業でひたすら映画を見て、ディスカッションやリサーチをしたり、グループプレゼンテーションをしたりするそうです。
Hairstyling and esthetics
ヘアースタイルやネイルアートの技術を学べるらしいです。
マネキンのヘアカットをしたり、クラスメイトを相手にネイルアートを練習したり、楽しそうでした。
Family Study
将来の家族計画を学ぶ、保健と生物と家庭科が混ざった科目のようです。
赤ちゃんをお世話する実習もあり、
実習中は突然泣き出すニセモノの赤ちゃんを常に抱いていて、他の授業でも家でも、ミルクをあげたりオムツを替えたりしなければいけないそうです。
Shop
木工です。小さな小屋や、椅子、本棚などを実際に制作するそうです。
このクラスの後は、服に木くずがたくさんひっついていました。
First Nations Study
カナダの先住民族の文化や言葉、また、先住民族に関する歴史や現代の課題などについて勉強していました。
(先住民族に関するトピックは、小学校から様々な科目に導入されています。
うちの子どもらも、音楽で先住民族の歌を習ったり、美術で伝統的な絵を真似して描いてみたり、社会科で、カナダ国内の民族の名前や地理的分布を習ったりしています。)
ちなみに、以下の記事によると、技術系の科目は、2024年からは選択科目ではなく、必修科目になるそうです。おそらく、開講されている技術系科目の中から、好きなものを選択することになるようです。
カナダ人のママ友や近所の人と話すと、
このような技術系の科目も重要視していることが分かります。
将来に役立つかどうかは別として、自分の手で、何かを作ったり、動かしたり修理したりできる、という、生きていくうえでのスキルも、子どもには身に付けてほしいという人が多いです。
そしてカナダには大学入試がありませんから、
高校3年生に相当する12年生でも、アルバイトや習い事、スポーツなどにバランスよく時間とエネルギーを使っています。
大学入試はありませんが、
進学するためには、大学や学部が指定している科目を履修して、なおかつ一定以上の成績を収めている必要があります。
応募したとしても、人気のある学部の場合は、成績表を見て判断されるので、成績が良いからといって必ず合格するとは限りません。
ボランティアの時間数や、学校内のクラブ活動や行事に積極的に参加していたかどうかなど、成績表の全体的な内容が評価対象となるようです。
そして12年生になると、車を運転できるようになる生徒もいるので、
学校、アルバイト、そしてもちろん日本語の授業にも車で来る生徒もいます。
授業料の支払いも、アルバイトで稼いだお金から振り込んでくれる生徒もいて、自立した生活に感心しちゃいます。
教室で日本語を勉強しているハイスクールの生徒さんたちは、
将来、日本に行きたくてうずうずしている子ばかりです!
多感で吸収力が高いティーンたちに関わることができるのも、日本語教師という仕事の特別な醍醐味ですね。
大人になった生徒さんたちは、日本語を勉強していた時期のことを、どう思い出すのだろうか…
と思いを馳せると、今日も楽しくて学びの多いクラスにしよう!と気持ちが引き締まりますね。
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