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#0 Wait & See~リスク~

どこか遠くへ
逃げたら楽になるのかな
そんなわけ無いよね
どこにいたって私は私なんだから

――宇多田ヒカル「Wait & See~リスク~」より抜粋

First Loveを初めて聴いたとき、私はまだ恋のこの字も知らない小学生だった。
そんな私も大人になり、仕事を見つけ、結婚もし、今年に入って子供も生まれた。目まぐるしく変化していく日々の中で、常に私に寄り添ってくれたのは彼女の曲だった。

私は幼少期を海外、おおかたアメリカで過ごしてきた。親の仕事の関係で数年ごとに住む場所を転々とした。子供のころは何とも思っていなかったけれど、歳を重ねるにつれ、そのような生活を送る中で自分というものが分からなくなっていった。
「私は日本人であり、日本人ではない。英語を話すけれど、アメリカ人でもない。私はどちらでもあって、どちらでもない。どこにも私の本当の居場所はない。」
そんな考えが、日本に帰ってからもずっと私の頭を離れなかった。

そんな時に出逢ったのが宇多田ヒカルだった。彼女の曲の中には、私のありとあらゆる感情をぴったりと表現してくれるフレーズが、必ずと言って良いほどあった。飾り気のない、シンプルでストレートな言葉に何度も私の心は共鳴し、震え、励まされた。

そして、おこがましくも私は彼女と自分を重ね合わせた。
私と同じように幼少期を海外で過ごし、おそらく私には想像もできないほどたくさんの試練を乗り越えてきたであろう彼女が、20年経った今もこうしてたくさんの人に愛され、輝き、影響を与え続けている。彼女は紛れもなく、彼女自身の力で自分の居場所を確立したのだ。
そんな彼女の存在自体が、私自身を肯定してくれた。彼女が輝くのを見ていると、自分もきっと輝ける、と思わせてくれたのだ。

多分、「自分の居場所」を初めから持っている人はほとんどいなくて、誰もがもがきながらそれを作っているのだということが、大人になってからやっと分かってきた。だから、私も頑張って、自分の好きなもの・好きな人を大切に、少しずつ「自分の居場所」を作っていこうと思う。だって、「どこにいたって私は私なんだから」。

◆本日引用した曲
宇多田ヒカル 「Wait & See~リスク~」

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