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ワーキング、アンドワーキング【短文】

兄弟、悪ぃな遅い時間に。

ちょっと聞いてくれ。


信じらんなくってよ。



手当てを出すって言ってたんだ。

あのシブチンの会社がだよ。


景気良いからな、そうだよ。ああ…

忙しかったから、最近マジで。


あぁ、そうかもな…でさ…



封筒渡されたんだよ。

茶封筒、給与明細と一緒に。


期末手当だ…っつってさ。
1年間ご苦労様ですって。

所長の野郎が勿体ぶって
両手で渡してきたんだよ。



あぁ…いやもう、半信半疑だったから。

あの会社の言う事だからな、
貰うまでアテになんか
なんねえぞって思ってた。


くれたんだ。




…今開けたんだよ。それ。

何が入ってたと思う?


目を疑ったわ。



千円札3枚。

千円札3枚だぞ?

入れ間違いじゃねえわ。


紙っきれみたいな明細と一緒に
確かに3000円だけなんだ。


でけえ事言っといてコレだよ。

恥ずかしくて見せらんねえって。
こんなモン母ちゃんに。

ふざけんなって。


もう「無しです」って言われてた方が
よっぽど良かったよ。

こんな気分になる位ならよ。




…貰えるだけマシだって?



………


…兄弟いま暇か?

じゃあ飲んじまおうぜ、
こんなモン、パーっと。

いっその事。


奢ってやるから来いよ。

酒代ぐらいにゃ丁度良いわ。
こんな金。



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