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秋の休日を思い立って書き留めて見た

空気の匂いが変わった
冬に近づく準備がはじまったようだ
どこを歩いても金木犀の香りに包まれている秋のはじまり

この季節が来ると若葉が青々としていた季節に植えた苗が育って
収穫の稲刈りがはじまる

毎年お手伝いさせてもらっている亀岡の田んぼも秋模様
黄色い穂波、名前はわからないけど爛々と田んぼの周りで咲いている黄色い花、春の若々しい山並みも、落ち着きのある熟した成人のような姿になっていた
秋の景色の色合いはなんだか心がほっとする

まだまだ日中は暑かったけれど、
日が沈むにつれて肌をさらさらと撫でる冷たい風が夏は終わったことを知らせてくれる
きれいだなぁ、気持ちいいなぁ
さてもう一踏ん張り、と思っていたら小学生二年生の子供達6.7人とその家族がやって来る
そこからはもうドタバタで、前日の雨でぬかるんだ田んぼに足を取られながら田んぼの中を歩き回り、足が抜けなくなった子供を救出し(長靴は足を取られやすいから裸足でいたのだけど頑なに裸足を嫌がるやんちゃ坊主がぬかるみがひどい場所に何度もやってきて何度も動けなくなって何度も助けなくてはいけなかった!)
疲労困憊で作業終了

そのあと訳あって着替えのなくなった田んぼの持ち主が、
泥まみれになったズボンで車に乗れないと言って、
ハサミで自分のズボンの泥汚れのひどい部分をジョキジョキ切り出して
ギッザギザの半ズボンになって、人間の暮らしを忘れそうなくらい長く森の中で暮らしていた人、のような姿になっているのを見てなんだか笑いが止まらなくなって久しぶりに涙を流しながら笑ってさらに疲れたのがこの日最後のハイライト

ギッザギザの半ズボン

疲労困憊の中なんとか無事に帰って
翌日は疲労に備えて有給をとっていたのでゆっくり眠る
何も予定のない休日はもう11月末までないと思うとゾッとして
何も考えず追われずにのんびり過ごすことに決める

お昼ご飯を作ろうか悩んだけど
行ったことのないお店に行ってみたくなって
google mapで近所の川沿いにある定食屋を見つけて行ってみる
窓の外に流れる鴨川と山を眺めながら食事できるいいお店だった
外の川の音と、店内のうっすらとしたjazzの音が重なって聞こえていた
決してjazzの似合う佇まいのお店ではなかったけれどうるさい音楽でないことに救われた
川のせせらぎを聞きながら、旅館にでもありそうな置物が置かれた渋いテーブル席での食事は、近くなのになんだか小旅行にでも来たような気分になった
注文を取ってくれるお爺さんはだいぶ高齢で、注文を聞いて通す以外の仕事がないようで、私の前のテーブル席にずっと座って退屈そうにしていた
中ではおそらくお爺さんの家族と思われる方が料理をしてくれている
なんてことのない生姜焼きにりんごのウサギが添えられていた

さてどうするかなと川をみながらぼぉと考えて
歩いて20分くらいで行ける赤山禅院へ向かってみることに決める
赤山禅院への道は山の景色に向かっていくので気持ちがいい
途中初めて一人暮らしをした家の前を通る
少し前にも通ったんだけど、改めてまじまじと眺めてみる
14年前?緑の屋根と階段、白い壁の可愛い家だったんだけど
色がだいぶすすけたような、朽ちたイメージになっていて月日の流れを思う
人はまだ住んでいる気配はあったけど、今見たら住みたいとは思えない印象だった

記憶を辿る

大学時代のある誕生日、制作を終えて家に帰ると当時の恋人と親友がうちのベランダから手を振っている
約束もしてないのに何事?と思って帰ると、出かけるぞ!と言われて連れ出され、家から山手にぐんぐん進んだところにある音羽ダムというところに行くと、大学の友人たちが集まってくれていて、焚き火を囲んで手作りのヤマモモのタルトでお祝いしてくれたこと、
友人が数人遊びに来てくれてトランプをしていた時に、幼稚園から飼っていた愛犬が亡くなっという知らせが入りベランダに出て泣いて、慰められたこと、そうだ、初めてタバコを吸ったのもこのベランダだった、
なんてことを思い出しながら今はくすんだベランダを眺め、先に進む

赤山禅院に着き、鳥居をくぐると一気にピリッと冷たい山の空気が神聖な気持ちにさせてくれた
聞こえるのは虫と鳥の声と風にそよぐ葉っぱの音
近場でこうした時間に巡り会えることへの幸福感で満たされる
そして下山、どこを歩いても金木犀の香り
行ってみたかったカフェで隣にいたラブラブなカップルにやられながら
カボチャプリンと深煎りの珈琲を飲んで
知り合いの立ち飲みに行こうか悩んだけどなんとなくやめて
近所のお寿司屋さんで美味しいと評判の巻き寿司を買って帰宅
1日の終わりに誰かと話したくなって近所の親友を巻き寿司で釣る
そんな秋の二日間のなんてことのない記録をしようという思いつきでした

なんてことないんだけど
なんとなく日々が過ぎて行くことに定期的に不安を覚える
たまにこうして自分をぐっと、掴みながらでないと
心と体が日々のめまぐるしさに飲み込まれて迷子になってしまって
人に対しても丁寧に接することができなくなって傷つけてしまう
年末にかけて自分を追い込みがちなので
自分で決めたことと覚悟を持って
自分で自分を助けながら
大切な人たちに優しくいたい

とりあえず巻き寿司を一緒に食べてくれる友人の一日の働きを労いつつ
楽しく話して今日もよい一日だったと眠れますように

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