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仕事は目的地に運んでくれる乗り物だ-改

「日本の最先端技術に携わる仕事がしたい」

 これが僕の就職活動時の志望の動機だった。嘘ではなかったが、とにかく大手に就職したかった僕が、面接うけしそうな理由を一生懸命考えた挙句、出てきた答えだった(笑)。
 
 20代前半の僕にアドバイスをするとすれば、

「どんな仕事がしたいんじゃなくて、どうなりたいかが先決だろ」

 と、言いたい。

 日本の学校は専門的知識や職業に関わる教育はするが、どうなりたいかということに関してはあまり触れていない。小学校の文集で将来の夢を聞かれた以外、記憶にない。僕はいつのまにか、「どうなりたいか」というものを曖昧にしたまま、20代前半はどんな仕事に就きたいか、どの業界で働きたいかばかりを考えていた。

 世界最強の軍隊を創るには、戦略を「米国」、作戦を「ドイツ」、最前線を「日本」という構成が良いらしい。どうやら日本人は専門的なことや、言われたことを忠実に実行することに長けているようだ。これは嬉しいようではあるが、見かたを変えると笑えない。米国が世界をリードしているのにも納得がいく。

 日本全体が高度経済成長期のように全体が拡張傾向に走っていれば、言われたことをやっていれば良いかもしれないが、明らかにそうではない時代に言われたことを忠実にやるのは、ちょっと危ない。ビジョンや戦略に関する教育をあまりしない日本ならなおさらだ。

 仕事上、東京と大阪を行き来きすることが多いので、電車嫌いの僕は飛行機で移動することがもっぱらだ。特にJALのマイレージプログラムの虜になっている。航空業界はマイレージによる格差があるので妙に燃える。あの、ファーストクラスと、ビジネスクラスと、エコノミークラスの格差が絶妙だ。

 僕は飛行機マニアではない。そりゃ最新機種は男御心をそそるが、はっきり言って、使い勝手と乗り心地が良ければなんでもいい。目的地に効果的に移動できればなんでもいいのだ。

 一方で、僕は自分でも不思議に思うくらい車好きだ。テールランプを見ればどこのメーカーのどの車種か大体わかる。恐らく、自動車業界の戦略に見事にハマっているのであろう。

 しかし、冷静に考えると、車も飛行機も目的地に運んでくれる乗り物だ。

 東京都内に在住であれば圧倒的にタクシー移動が効果的だ。そう、乗り物と同じように、仕事は効果的かどうかが大事なのであって、決して仕事そのものが目的ではないはずだ。好きだからという理由でやりたいことをやった結果、目的地に到着できないのはまっぴらごめんだ。

 仕事選びで特に注意したいのが、環境の変化だ。まず、企業の平均寿命は僕らが一生涯で働く期間よりも短いのはデータから明らかだ。ましてや、20代の頃から勤めている会社の経営戦略は管理下にない。発言したところで、全く相手にされないのが関の山だ。それに今就ているい仕事が10年後需要があるかなんて、誰も保証できないし、これも管理下にない。法律が変わったり、技術革新が起きたら状況が一変するなんてザラだ。

 僕が言いたいのは、仕事はあくまで目的地に運んでくれる乗り物ということだ。実際僕は、20代後半と30代半ばに、目的に対して効果的でないことから、仕事を変えているし、目的に対して効果的な仕事やビジネスを選択し続けている。何度も言うが、好きだからやっているわけではない。効果的だからやっているのだ。そもそも、やり込んでいればどんな仕事も好きになる自信がある。

 まず、目的地を決めよう。どうなりたいのか、どんな状態を手に入れたいのか、何を実現したいのかを決めるのだ。そして、その目的に対して効果的な手段(仕事)を選択するのだ。

 仕事は目的地に運んでくれる乗り物だ。

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