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過去と未来こそ、キャラクターの「今」の姿

 人間は今を生きるが、キャラクターにとってそれは「過去」もしくは「未来」である。どういうことかと言うと、キャラクターの過去や未来がはっきりしていれば、そのキャラクターの現在は自ずと決まるということだ。
 過去とは生い立ちであり、未来とは目標だ。これらがあることで、というよりはなければ、キャラクターは今を生きることができない(というより、魅力的なキャラクターにはならない)。
 これは人間と違い、キャラクターは作られた存在であるから、過去と未来に縛られるのである。人間ならば過去は記憶でしかなく、未来は構想でしかない。それらに縛られない「今」があることは往々にしてある。しかしキャラクターにそれは許されない。過去と未来と今は接続されていなければならない。常に。「だからこういう行動をとるんだ」「このためにこういうことを言うんだ」と思えるキャラクターでなければ、その魅力はあまりにも少なくなってしまう。

 だから、人間にとって大切なのは「今」だが、キャラクターにとっては「過去と未来」である。けして、キャラクターは「今」と関係がない存在ではないが、しかし、誰の目にも触れているキャラクターの「現在の姿」は、今ではなく、過去や未来というそこにはない「設定」に宿っている。
 いわばそれこそ、キャラクターの魂である。

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