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アニメ映画の立役者「ワンダー」に迫る (後編)

※前編はこちら︰
https://note.com/kawausowright/n/n6afe35a18a8a

アニメ映画を見たことがあるだろうか?

時を超えて入れ替わった男女の恋愛物語をきっかけとして、昨今ではオリジナルや原作ものを含めて、続々と新作映画が発表されている。

あなたが創作者であるなら、そういった作品を考えてみたり、作ってみたいと思ったりしたことがあるかもしれない。

そのためには、これらの映画にある共通の要素について知っておく必要がある。
そうすれば、まずは第一歩を踏み出せる。

その要素とは……

●「アニメ的ワンダー」

というものだ。
これがなければ(または、弱ければ)、映画でアニメをやる必要はないし、企画としても失敗である。


さて、端的に言って、アニメ的ワンダーには3つのポイントがある。

①ワンダーとは「派手で不思議な出来事」のこと
②ワンダーにより、観客は心揺さぶられ、夢中になる
③ アニメーションこそ、ワンダーを効果的に描ける

①派手で不思議な出来事
「ワンダー」という言葉の意味は、不思議に思ったり、驚いたりする感情が含まれる。
だから、創作表現において、観客の目を引きワクワクさせる出来事のことをワンダーと言う。

アニメ映画はこのワンダーから始まる。
具体的には、時間旅行、変身・変化、魔法、瞬間移動、巨大な何か、突然の冒険、などなど……

ワンダーは、主人公達を、その日常の外に連れていく。そしてその動向は、派手で目立つ、大きな動きをともなって描写されていく。
このことにワンダーのエッセンスがある。

とにかく派手で不思議。それを忘れないことで、観客の心をしっかりつかむことができる。

②観客が心揺さぶられ、夢中になる
なぜ「ワンダー」は、アニメ映画を観る人々を夢中にするのだろうか?
確かに、派手で目立つ不思議な出来事に、注目することは当たり前だ。
けれど、それだけだろうか。

その理由は、物語創作の本質が教えてくれる。
私たち人間が物語を創り、そして観るのは、そこに私たちの夢があるからだ。
人間は自身の願望や、現実では味わえない興奮、感情の高まり、知識や経験を物語を観ることで得るのである。

だから、ワンダーは観客を夢中にさせる。

そこに創作としてのファンタジーがあるから。それをこそ見に来ている。映画館に足を運ぶとなればなおさらだ。その期待感に、ワンダーは応えられるだけの力がある。

③アニメーションこそワンダーを描ける
そして、「ワンダー」というツールを完璧に使いこなせる表現こそ、アニメなのだ。
昨今ではCG技術の発達により、実写をメインにしてもかなり現実とかけ離れた世界を作ることができるようになった。
けれど、存在が創作であるアニメーションには勝てない。
その表現力は実写を確実に凌駕する。だから、現実では味わえない出来事を描くのに、アニメーションは最適なのである。
逆に、映画でアニメーションという手法を選択するなら、ワンダーを描くべきなのである。

というわけで。
アニメ的ワンダーの3つのポイントについて、おわかりいただけただろうか。

①ワンダーとは「派手で不思議な出来事」のこと
②ワンダーにより、観客は心揺さぶられ、夢中になる
③ アニメーションこそ、ワンダーを効果的に描ける


……「現実」のにおいのしないアニメーションによって作り出されるワンダーは、きちんと派手で不思議で、観客の心を多いに揺さぶり、夢中にさせる。

ワンダーは、アニメ映画にはマストの要素であり、昨今の成功作品にはすべて、これが使われている。
もし、あなたがアニメ映画について考えたり、創ってみたりしたいと思うとき……ぜひ、このアニメ的ワンダーのことを頭に浮かべてみてほしい。

きっとそれは、あなたの豊かな創作力の、力強い助けになるはずだ。

※このテーマに関する、ご意見・ご感想はなんなりとどうぞ

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