死と食事と聞きそびれた長い話
「彼、話長いじゃない、やっぱり」
「仙遇がですか?」
三井はナポリタンを口元に運びかけていた手を止め、まるで親しい者の死の報せを聞かされたかのような顔を見せた。テーブルの向かいで頷く坂野は、ちょうど最後の骨を、定食の焼き鯖から抜き取ったところだった。
「そうよ。彼と会うといっつも2時間くらい飲んじゃうもの」
「はあ……酒好きなだけでしょう、2人とも」
「そんな冷たい目しないでよ。本当なんだってば」
板野が猫なで声を出す。色香を含んだ艶のある目線が、三井を捉えるが、彼はそれ