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【書店販売スタート!】福祉を仕事にしたきっかけ

発売から1週間が過ぎました! 皆さんから温かい応援をいただいています。ありがとうございます。

梅田にある清風堂書店さんにのぞきにいったら、新書&話題のコーナーに並んでいました!


近隣のみなさまは、清風堂書店さんにもぜひお立ち寄りを。

また、紀伊國屋さん、ジュンク堂さんなど、大手書店さんにも並び始めているそうです。

こちらのhonto.jpさんで書店を検索できますので⏬、ぜひお近くの #ボクフク  取り扱い書店さんに行ってみてください!

▼honto.jp 「取扱店検索」



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福祉の仕事をしていると、どうしても「すごいですね」とか「いいヒトですね」といった言葉をかけてもらうことが増えます。

が、本当にそうでしょうか?

僕は、いいことがしたいとか、すごいと思われたいからこの仕事をやっているわけではありません。それよりも、何をやってきたのか、どんな結果を残せたのか、そういう視点で評価してほしい。

ある意味仕方のないことではありますが、それだけ、福祉が特別なもの、特殊な世界だという認識が根強いからだと思います。

入浴介助という有償ボランティアでお母ちゃんと出会い、僕が福祉に関心を持つようになったのは、「怒り」がきっかけだったと思います。そして、それは今もあまり変わっていないかもしれません。

以下、本書から抜粋。

 ある日のことです。 
  いつものようにお母ちゃんの家にいき、テレビを見ながらご飯を食べていると、夕方の報道番組がとある地方で起こった地震の被災状況を知らせていました。
  それを見たお母ちゃんは、何気なくぼくにこう言うのです。
「こんな地震起こったら、この子らはどうなるがね」
 バイト感覚で入浴介助をしているぼくが、そんな壮大な問いに対する答えを持っているはずがありません。
「こんな子は死ぬしかないがね」
 穏やかな夕食の時間が、だんだん重いテーマと空気に包まれていきます。もちろん、お母ちゃんがぼくに、何かを期待しているわけではないことは百も承知です。
「大丈夫やって。こんな大きな地震だって頻繁にくるはずないやんか。心配せんでええ って」
 お母ちゃんは、不安そうにテレビを見つめます。あたりさわりのない返事をしながら、 ぼくは内心、動揺していました。そして、心のなかで必死にお母ちゃんからの問いかけを否定し続けていました。
(いや、俺は知らんで。いくらお母ちゃんやいうても、そんな災害起きたら俺も逃げた いし、助けに来るなんてきっとようせんで)  
 けれど、他愛のない会話をしているだけで、葛藤がふくらんでいくのです。あたりまえにある社会から、置き去りにされているお母ちゃんやTさんの存在が浮かびあがってくるのは避けられないことでした。
 障害者を揶揄するような表現を見聞きしたこと。Tさんが作業所から帰ってきたときに ついていたアザのこと。明日もお世話になることを考えたら、気になるけど聞かれへん、 我慢せなあかんと思っているお母ちゃんのこと。 
 お母ちゃんは、夕食のたび、意図もなくそんな話をふってくる。そしてぼくは、ぼくの肩にのしかかってくる重たい何かを、一人で感じていました。
 (俺は知らんで、無理やで)
(やばい。ほんまこんな仕事はよやめな......)
(俺は関係ないで。俺は関係ないけど、世の中には腹立つな......)
 自分とは関係のないことだ、と思おうとするのですが、引っかかりがおさまりません。 そのうち、ぼくは怒りに近い疑問を抱くようになりました。 
 お母ちゃんみたいないい人が、どうしてこんなに困らなくてはいけないんだろう? 
 なぜ障害を持った人やその家族たちが、「迷惑がかかる」と言って、こんなに肩身の狭 い思いをして生きていかないといけないんだろう?  と。 

「ぼくは福祉で生きることにした」(第1章)


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