聖火ランナーの辞退が話題となっているが歴史と命の火は決して途切れさせてはいけない

 相次ぐ聖火ランナーの辞退を受け立ち上がったのがAVメーカーであった。

「俳優もタレントも芸人も誰も走らない。じゃあ誰が走るか。俺たちだよ!」

 そう叫んだのはAV界の熱き団塊男。古賀カルマである。ポルノ一筋三十年。生涯現役を公言するカルマの出演作品は万を超える。老若男女と交わってきた彼の言葉は、筆舌に尽くしがたい浪漫に彩られていた。

「是非やりましょう!

 古賀の声に賛同する者は多数。いや、大多数となり、政府に陳情が送られた。陳情の内容はAV男優女優による連結聖火リレーの実施。それに差し当たり、男女交互に聖火を渡しつつ挿入を行うという低俗を極めた軽犯罪行為であったため却下は目に見えていたのだが、何をとち狂ったのか審議が通りってしまったのだからたちまち大騒然。もちろん世間から大きな反発の声が上がり圧倒的政府批判が展開されたが与党及び組織委員会は全てのご意見に無視を決め込み強行の姿勢を崩さなかった。皆、疲れ果ててしまっていたのである。

 そして投げやりと開き直りと悪ノリに塗れたリレーが始まった。最初のランナーは当然我らが古賀カルマ。雲一つない快晴の下全裸で出走。逸物も文句のつけようのない反り具合である。

「カルマー! 業が深いよー!」

 沿道の声援に手を振り答える古賀。前途揚々。問題なく進んでいく。

 ように見えたがアクシデンツ。なんと聖火が陰毛に燃え移り古賀の股間がファイヤー&ボンバー。聖と炎の属性が付与され自身に大ダメージの惨事である。

 だが古賀は耐えた。耐えて走り、そして辿り着いた。二つの聖火が次のランナーのもとへ送られてきたのだ。繋ぎ手は日本最高齢女優である丸ノ内バブシュカである。御歳九十二となるが未だ主演女優を貫く彼女はこの日、代表作である孫の孫を見たくてシリーズの最新作発表も兼ねている。失敗はできない。しかし問題は古賀の下のトーチである。このまま挿入されてはまさしく火葬。告知作品が遺作となるばかりか放送事故レベルの衝撃映像を提供してしまう事となる。さて、どうするか。


「消化活動準備よし! 全員用意!」


 そこへ現れたのは汁男優達が結成したぶっかけ隊であった。彼らは万が一に備え、いつでも発射できるよう万全の態勢を整えていたのだ。

「えい!」

 掛け声と共に古賀の逸物目掛けて一斉射精。卵の白味が焼けるような香りと共に鎮火し古賀の逸物はそのまま爆進し丸ノ内に無事連携。トーチリレーも無事完了。聖火は見事繋がった。
 テレビ中継されたその様子は全国茶の間に悲鳴と馬鹿笑いを届けクレームが殺到したのだが、数字だけは嘘をつかず、結果だけ見れば大好評となり大会が開催された。

 雌雄を決するスポーツの祭典。栄冠を勝ち取る選手も涙を飲む選手もいるだろう。だが、その戦いの土台を作り上げ、盛り上げた人間がいる事を忘れてはならない。

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