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A story of recruitment4 「企業の“勝ちどころ”を発見せよ」

先輩の前にエシャロットが置かれた(3皿目だけど)。
エシャロットという名前はなんだかヨーロッパの貴族のような耳障りなんだが、
要するにネギだ。
ネギ臭い先輩がネギ臭い息を吐きながら言う。

「どうだ?なんとなくわかってきたか?」
「まだわかってはいませんが、とんだ勘違いをしていました。」
「まあ、価値観ってのは変わるっていうことだよな。」
「はい・・・でも価値観が変わってきたのはわかるんですが、それをどんな風に採用にいかしていけばいいか・・・。」

「はぁ・・・。」
先輩がネギ臭いため息をついた。
「価値観がわかったら、それに合わせて魅力を出していけばいいじゃねーか!」
今度はこちらがため息をつく。
「だから、魅力があるんだったら最初から出してますよ!
魅力がないから困ってるんじゃないですか!」

「魅力がないだと!?お前はどこに目をつけてんだよ!お前の会社、創業何年だ?」
「えっと、一応60年になります。」
「一応じゃねえぇぇ!!!!その企業の方々が支え続けて、お客様を喜ばせ続けた60年だろうが!!!」
「あ・・・はい。そうです。」
「いいか、30年で9割の会社が・・・いや、今はビジネスの流れが速いから10年で9割の会社が
潰れると言われているわけだ。だとすれば、10年、20年、30年とやっている企業というのはすでに“勝ち組”なんだよ!」
「はぁ、まあ、そうですね・・・。」
「いいか、“他にも選択肢があるにも関わらず”お客様が選び続けた60年なんだ。そういう企業は必ず“勝ちどころ”があるんだぜ。」
先輩はいつになく熱く、いつものようにネギ臭く語る。
そう言っているのをよく見れば、
先輩の八重歯のところにエシャロットが挟まっているではないか!

めちゃくちゃ熱い話しをされているが「エシャロット詰まってますよ」的なことを言えばこの場に血が流れることになってしまう。
笑いそうになっているのをビールを飲むふりしてグラスで隠した。

そう言えば、先輩は前にいた会社が6年目で倒産したんだった。
当時、ふらついていた先輩をそこの会社がひろってもらったとか。

「ま、まあおっしゃることはわかりますが・・・でも実際は知名度はないし、売り上げも小さいし、給料だって・・・。」
「お前なぁ、この前と言っていることが変わってねぇ!
ない、ない、ないって・・・ないものに目を向けるな!」
「いや、別にないものに目を向けてるわけじゃ・・・。」
「いや、無意識にやってるんだ。目の向け方を変えるんだよ。
“あるもの”なんだよ。会社にあるものは何だ!?」

「会社にあるもの・・・?」

「会社にあるものは内側からは見えづらいんだ。なぜかわかるか?皆それが“当たり前”と思っているからだ。」


「当たり前?」
「例えば、うちの会社は産業廃棄物の会社だけど、何色のイメージ?」
「御社をですか?そうですね。う〜ん、まあ、ロゴも緑だし、リサイクルのイメージなんでグリーンですかね?」
「そうだな。でもな、うちの社員に数年前に同じ質問をしたんだ。なんて答えたと思う?“ねずみ色”だぜ?
勝手に業界の当たり前とか常識とかイメージを決めつけてるんだ。いかに内側からだと見えづらいか・・・。」

「・・・じゃあ見つけられないじゃないですか。」
「でも、見る方法がある。
例えば、広告会社が自社のパンフレットとかつくる時って、どうやってつくるか知っているか?」
「もちろん知りません。」
「俺も驚いたんだけど、なんと外部に発注するんだぜ。社内に優秀なクリエイターがいてもな。
いいか、“会社にあるもの”は人に見つけてもらう だ!」

熱い先輩の口ぶりにネギの臭いは気にならなくなっていた。

【本日の教訓】

“会社にあるもの”は人に見つけてもらう


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