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A story of recruitment 9「説明会は、説明してはいけない。」

スライドで使用していた「エイエイオー」の写真を
働いている自然な写真に変え、
「弊社は社風の良い会社です!」という文字を
「昨年の忘年会はコスプレ大会で新卒が優勝しました」と書き換えた。

いったいどのように学生の反応が変わるかを不安な目で見ながら
プレゼンを再開した。

「・・・・・・・・」

特に変化なし。
先輩のいうことを素直に実行したのに、何も変わらないじゃないか。
もともと、幼稚園の時に「パスタの原料はヘビだ」と酔った父に
教えられ、小学6年生まで同級生に良かれと思って教えていたほど素直なのだ。

「先輩、全然学生の反応変わらないじゃないですか!」
「うん。変わらないな。」
「言う通りのやったのに・・・。」
「うん。つまらないからな。つまらなすぎて笑いそうだったわ。」
顔が熱くなってきた。

「なんでつまらないかわかるか?」
「え、間接的に表現を変えるんだったら既にやりましたよ。」
「そこも大事だけどな。でも、そもそもつまらないんだわ。
もしかして、説明会って、説明しようとしてない?」
「え、でも説明会ですよ?」
「説明会“だからこそ”説明しちゃけないんだわ。」
「いや、もったいぶらないで教えてくださいよ!」
「・・・・・・」
「いや、先輩のノウハウを喉から手が出るほど聞きたいんです。頼れるのは先輩だけですから。」
「そうかぁ?じゃあしょうがねぇな!」
日本には素晴らしい諺がある。
豚もおだてりゃ木に登る。

先輩はノートに何かを書き始めた。
「いいか。説明会で話しをするだろ。そうすると面白い説明会とつまらない説明会がある。」
「はい、わかります。僕の説明がつまらないって言いたいんですよね。」
「最後まで聞け!もうひとつ。よくわかる説明会とよくわからない説明会があるんだ。」
「なるほど。」
「そうすると2×2で4つの説明会があるんだわ。」

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①面白いし、よくわかる説明会
②面白いけど、よく分からない説明会
③つまらないけど、よくわかる説明会
④つまらないし、よくわらかない説明会

「①が1番いいし、④が1番ダメなのはみんなわかる。
だけどな、②と③がどちらが大事なのかをみんな間違えるんだよ。」

確かに、会社概要や事業内容や仕事内容を説明しようとしていた。
よくわかるけど、つまらないのだ。

「結局、人は内容がわらなくても面白い方を選ぶんだわ。」
学生の反応が腑に落ちた。
確かに、人気のセミナー講師というのは面白い。
学校でも塾でも人気の先生は面白い。
本も専門書よりも、お気楽なものの方が売れる。

「いいか、だから俺の恋愛論はな・・・。」
先輩のつまらない話しを聞き流しながらキーボードを叩いた。

今日の教訓 「よくわかる」よりも「面白い」

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