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私たち刺繍屋がどうしてマスクを作るのか

始まりは2020年3月ごろのマスク不足でした。

日本、世界中が混沌に陥ってしまったCOVID-19の影響。

私たちの工場も例外ではありません。
工場なので、どうしても人が集まってしまい、密が発生します。
世の中ではマスク不足が騒がれる中、私たちも従業員用のマスク確保に悩まされました。

マスクを探してもどこにも売っておらず、どうしようか途方に暮れていた時。
私たちが持っている縫製の技術を活かして、自分たちでマスクを作成することにしました。

縫製技術があれば、簡単にマスクを作れるじゃないか!と思われるかもしれませんが、そう簡単ではありません。
今までマスクを作ったことがなかったので、型紙・ノウハウもなかったからです。
しかも、今でこそ布マスクは当たり前のようにつけている方も多いですが、その当時は使い捨てマスクが主流でした。
そのため、布でマスクを作ろうと思えなかったのです。

しかも、ただ単に布でマスクを作っても意味はありません。
COVID-19には、ただのマスクで挑んでも焼け石に水だと思いました。

もちろん、ないよりはあった方がいいですが、長時間つけやすく、きちんと鼻と口を守ってくれるマスクじゃないと意味がありません。


従業員のためのマスク。

最低限、マスクに求める機能は以下の通り。

・作業の邪魔にならないように顔にフィットする
・長時間つけるので肌に優しい生地
・顔の大きさに関わらず使える
・ずっとつけていられるようにおしゃれな形

従業員にとって一番使いやすいマスクを作ることにしました。 
マスクチームを立ち上げ、幾度も修正を繰り返しながら、マスクを作っていきました。
数週間の試行錯誤の末、フィット感の良いガーゼマスクが完成しました。
 
早速、従業員の皆さんに配ると、案の定、評判がよく家族の分やご近所さんへも欲しいという声が上がりました。
従業員のために作成したマスクですが、マスク不足の世の中には、私たちのマスクが必要だと感じました。
そこからマスク作りが本格的にスタートしました。
 
従業員の家族や近所の方々にマスクを届けられるようになると、マスク不足で困っている人たちに届けたいという想いが次第に強くなっていきました。
そんな時に、市の職員の方がマスクの評判を聞きつけて、訪ねてきてくださいました。
 訪ねてこられた当時は、緊急事態宣言が解除され、休校が終わり学校が始まるという時でした。
 
市の職員の方々は市内の全小中学生にマスクを配布することに決まったので、そのマスクの作成をお願いしたいという依頼でした。
 
市内の全小中学生という事ですから、数千以上のマスクが必要になります。
しかも、学校が始まるまでに配りたいという厳しい納期でした。市が配布する物なので、単価も限られたものでした。しかし、このコロナ禍でマスクがないまま子供たちを学校に通わせるのはできません。
私たちはその依頼を引き受けました。
地域の子供達のため、自分たちができることをしたいと考えたからでした。

しかし、引き受けようと思った時に、問題が発生しました。
私たちのこだわりである、良質な白のガーゼの数が足らなかったのです。
今までは従業員のために、従業員の家族、近所の方々のために作成してきましたが、急に数千という材料は足りませんでした。
残念だけどどうしても間に合わない。間に合わなくて迷惑をかけてしまっては元もこうもない。
「今回は諦めよう」という事になりました。
 
でも、何とかしたい!地域の子供たちが少しでも安心して学校に通ってほしい、という想いは全く消える事はなく、むしろ強くなる一方でした。
 
諦めきれない私たちは、必死で白いガーゼを探しました。
手当たり次第、生地屋さんを探しました。
しかし、コロナ禍の当時はガーゼは人気です。入荷予定があっても1カ月先。
ガーゼ以外の生地で作成しようとすると、マスクの形から変更しなくてはなりません。そんな時間もありませんでした。
「やっぱり諦めよう」そう思いました。
 
諦めかけたのですが、最後にもう一度だけネットで探してみようと思いました。
夜中だったので、諦め半分でネットで検索していたのですが、たまたま見たBtoBサイトの新着入荷欄にガーゼがありました。さらに即納でした。
ガッツポーズと同時に購入ボタンをクリックしました。
 
 
これならいけるかも! という希望を胸に早速、市の職員の方々に連絡をしました。
 
市の職員の方々もとても喜んでくださいました。
納期がとても厳しかったので相談をし、私たちは市内の中学校のマスクを作らせて頂くことになりました。
 
従業員には無理を聞いてもらい、学校再開に間に合わせるため、休日も返上してマスクを作りました。
休日出勤もしてもらったのに、従業員の方々は誰1人として不満や愚痴をいう人はいませんでした。皆の想いは1つでした。子供たちにマスクを届ける。
 
そんな甲斐もあり、何とか納期通りにマスクを納品することが出来ました。

これで、子供たちにマスクが行き届く。
ただただ、ホッとしました。

100年に1度といわれるコロナ禍で、世の中は目まぐるしく変わっていきます。
社会情勢は刻々と変わり、企業も変化を余儀なくされます。
 
そんな苦しい中でも、私たちにできることはあります。
私たちの小さな力が、少しの勇気や力になることを願っています。
 
私たちの持っている刺繍・縫製・プリントの技術を活かして、今日も動き続けます。
 


刺繍・縫製・プリントのご依頼なら、川島エンブをご利用ください。
創業60年の技術と最新機器を組み合わせて、刺繍・縫製・プリントのご依頼を承っております。
ご希望の素材や予算に合わせて、多種多様なご依頼に対応します。
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