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「メンやば本かじり」あれはなんだったんだろう編

 思い返してみると、「おや? あれってなんだったんだろう」と思うことはないだろうか。

 例えば、

 私は埼玉県在住なのだが、埼玉には「川越駅」と「川越市駅」と「本川越駅」がある。はじめて川越を訪れたとき、川勢の脳内ミジンコがばっちゃばっちゃ手足を暴れさせ錯乱していた。

 どれがどれやんね。

 だがこれは、川勢だけではなかったようだ。

 先日、一〇代の女の子二人組が電車の中でいかにもそわそわしながら話していた。

「ねぇねぇ、アナウンスで次は本川越って言っていたよね」

「いや。そんなはずはない。Googleマップでは川越市駅に向かっているもん」

 二人がスマホを凝視する間、電車は本川越駅へ到着。

「やっぱり本川越って言ってるよ。ホームの看板にも書いてあるし」

「え、うそ。でも地図には川越市って。どうする? どっち信じる?」

 ええええー。ホームの看板、疑うんやー。そこは信じてあげようよ。

 なーんて経験、あなたもお待ちではありませんか?

 おっと。

 いまさらですが、今日の「メンタルがやばいときは、本をひとかじり」は宣伝です。

 謎の体験をぎっしり詰め込んだ作品それが『あれはなんだったんだろう』、の宣伝なのです!

 本書は、5月19日日曜日に東京流通センターにて催される、文学フリマ東京で販売される。

 川勢のなんだったんだろう体験も掲載してもらっているご縁もあり、売り子として当日お待ちしております。よろしくお願いします。

「なんだー宣伝かよー」とイラッときたそこのあなた。

 最後まで読んでいただいて「宣伝でした」という後出しじゃんけんはさすがに失礼かな、と思い先出しじゃんけんにしたのだ。

 じゃんけんで先に自分の手の内を見せるということは、あとはすべてあなたの慈悲の心頼みということだ。

 あなたの慈悲の心頼みだ!

 さて、まずは文学フリマを簡単に説明すると、個人(法人の場合も)が自主制作した本を売る場である。

 ジャンルは、小説、エッセイ、人文系、ニッチ市場系などなど。著名人の作品もあったり、会場は大賑わいだ。

 そんな文学フリマ東京にて、前回大型新人と呼ばれたのが『あれはなんだったんだろう』だ。

 一分に一冊売ったという記録をもつ本書は、冒頭の川勢の小ネタとは違い、実体験という部分では同じだが、どれも大ネタなのだ。そこがすごい。

私が人生で二人目に付き合った人が、あれはなんだったんだろうの塊の人だった。
当時、六本木のインポートブランドのセレクトショップでバイトをしていた。(…)
(彼氏の家に)住み始めて三日目くらいの頃、仕事が終わって(…)二人で帰って(…)ドアを開けて入って電気をつけたら、人がいた。

『あれはなんだったんだろう其ノ貳』

 こわいこわいわい!!

 家に帰って電気をつけたら人がいるとかめちゃくちゃ怖いわ!

 これを読んだとき、私は泥棒かと思ったのだが、まったくの見当違いだった。ちなみに、幽霊でもない。

 じゃあなんやねん、ってなるでしょ。これ、みなさん予想してほしいですね、まじで。結果は買ってたしかめてね、という意味ももちろん、もちろんございますが、それよりも当てられる人がいるのか知りたい。

 他にも、川上未映子さんのトークイベントでの謎質問や、病院の待合室で隣に座っていた人からいきなりもらった名刺の内容がすごかった件や、子供の頃のかなり危険で独創的な妄想が与える現実への影響話などなど。

 これ、ぜんふ実体験ですか? と聞きたくなるだろうが実際そうなのだ。

 他には

 コンビニの店員さんがお客さんにあだなをつけることって、よくあることなのだろうか。

 自分も学生時代にアイスクリーム屋さんでバイトをしていたとき、仕事終わり(と勝手に思っている)に毎日抹茶アイスを注文されるお客さんがおり、彼女のことはバイトのみんなが「抹茶の人」とは呼んでいたが。

 そんなふうに、おそらくコンビニの店員さんにあだなをつけられているであろう人による、店員さんとの謎の和睦エピソードも収録されている。

 ところで、あなたは謎の体験をしたことはないだろうか。

 もしよかったら、記憶の中を探ってほしい。

 よくよく考えたら変だよね、なんてことはないだろうか。

 ない? ほんとうに? 忘れているだけじゃありません? 本書を読んで「あっ、これと似たようなことあったわ」となる話が、もしかしたらいくつかあるかもしれませんよ。

 ほーら、あなたはどんどん日曜日に東京物流センターに行きたくなる〜。ならなくても、ネットで買えるから安心だね!

 てなわけで、『あれはなんだったんだろう』をなにとぞよろしくお願いします!


◾️書籍データ
『あれはなんだったんだろう其ノ貳』平山亜佐子+吉川浩満 著

 難易度★☆☆ ☆☆

 思い返してみると、人は意外と謎の体験をしているものだ。本書はただただ人のおもしろエピソードを読むだけでなく、読んでいるうちに自身の記憶が湧き出てくる、そんな作品だ。


#創作大賞2024  
#エッセイ部門

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