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銀座に来いの物語 〜花金銀ブラ(前編)

 2021年2月現在、前日までにお客様よりご予約をいただいた日のみ一組様限定で開店し、それ以外は事実上の休業をしている我らがバー『浪漫社』

 それでもオーナーであり女房のママも、俺ことマスターも、毎日店には行っていることは以前に綴った。

 ところが一昨々日のこと。空調の一部が突然、正常に動作しなくなった。
 さっそくメーカーに修理の依頼をしたのだが、この状況下で空調関連は忙しいと見えて、あろうことか訪問修理が来週月曜日になるとのこと。
 もちろん我らもそんな空間にふたりだけにせよ滞在することは良くないだろうということで、一昨日から夜は自宅で過ごすこととあいなった。

 店をはじめてから約5年と3ヶ月。日曜と旅行など以外の夜はずっと店で過ごしてきたので寂しいったらないのだが、いっぽうで新鮮味もあり——ことに俺は現在の居所に引っ越してから初めての昼の職場からの直帰——この事態をふたりともまあそれなりに楽しんでいると言ってよろしいのかなと。

 で、昨夜も遅くまで俺の書斎こと台所の換気扇の下(笑)でせっせとnoteに日記をしたため、ようやっと公開。さて床に着こうというという段になって、隣室リビングにいたママが台所と扉の間の柱に後ろ手に背を押し付けながら立ち、なにやらもじもじしている。
 何事かと思うことしばし。にわかに、
「あした、私がそっちに行こうか?」
 と言いだした。

 一瞬間、何のことかと訝《いぶか》ったのだが、すぐになるほどと理解した。
 つまり俺の昼の仕事がハネたらどこぞで落ち合って、食事や、ふたりが大好きな〝まち歩き〟などしようかという提案だ。
「いいね。どこにする?」
 と答えた直後、そういえば新しいカバンの購入を検討している自分がいることを思い起こし、
「銀座にしようか。タニザワさんに行きたいし」
 ということで即決となった。

 ご存知のかたには釈迦に説法だが、『銀座タニザワ』は明治の初期からのカバンの老舗で、
『鞄』
 という漢字もタニザワが作ったとされている。
 もちろんお値段もそれなりなのだが、海外有名ブランドに較べればいわゆるコスパはいいし、俺の手に届く届かないはともかくとしてタニザワさんで物色をしてからでないと新しいカバンの購入には踏み切れないなと、ここ数ヶ月、Instagramの各種PRでちょっとグラッと来るような商品が表示されてもずっと考えてきたのだね。

 タニザワさんの本店は銀座一丁目。
 俺の職場からもママが出立する自宅からも合流しやすいJR有楽町駅からほど近く、アクセス的にも願ったり叶ったりだ。

あえて記すが、こうしたことを不要不急の外出とは言わない。

 というわけで今夕、有楽町で逢いましょうということになったわけだが、この続きはまた次回にて。

 連作日記が多くて、どーもスミマセン。(初代三平)

 宜しくお付き合いのほどを。


※続きはこちら


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