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「ストレス脳」誰も不安からは逃れられない

「恵まれたニート」なのに、なんか不安。焦燥感。お金もあるし、時間もある。ストレスを感じる同僚も上司もいない。来月にはポケモンの最新作が発売されるし、推しを目当てに遠出する楽しみなイベントもある。

(ここでの恵まれたニートとは、時間もお金もあり、仕事をしていない状況を指す。筆者は現在、訳あってその状態にいる。)

なのに一体どうしてだろう?考え続けている間に、一冊の本にであった。「ストレス脳」という本だ。

なかなか面白かった。人間はなぜ不安を感じるのか。それは人間が生きている目的からわかる。人間の本来のミッションは、健康や、幸せになるためではなく、子孫を残すためだ。先祖が代々、天敵や感染症から逃れるため、常に危機を回避していなかったら、今の私たちは生きていない。つまり、常に不安である状態がデフォルトであるということだ。そのようにプログラミングされた本能は、何千年経っても変わらない。生活がここ近年目まぐるしく変わり、便利になるも、たかがここ1~2世代に起こったことである。何千年も前からの生存本能がたった数世代で変わるはずがない。刻み込まれているのだ。

パニック障害に対しても、こう書かれている。ちょっと焦げたパンだけで火災報知器が鳴ってしまうように、危険を察知するセンサーが正常に作動している証拠だと。

 だから、私の脳のどこかがおかしいんじゃ、思う必要は全くなく、そもそも人間の生存本能がどうだったかを考えてみると納得する。ああ、ちょっと過敏に反応した脳のバグだな。こう思えるだけでずっと楽になる。自分のせいではないのだから。

と、このようにそもそも人間はどういう生き物だったか?古代にまで立ち返り紐を解いていく本となっている。

 例えば、私も、恵まれているのにずっと幸福じゃないのはなぜだろう、と思うことがあり、焦ることがある。
しかし、ずっと幸福という状態は、生存本能的にはとても危険である。
バナナをひとつ食べて満足してしまったら、次の食べ物にありつけなくなり、生きていけなくなるだろう。だから幸福は一時的なもので、忘れるものだ。

だから幸福を求め続けるのはやめよう。幸福は無視しよう、と筆者はいっている。その方が結果的に幸福らしい。

また、この本には運動の重要性も書かれている。運動は鬱を撃退する効果がある。ここまでは、他の本にも書いてあるだろう。確かに、運動を始めた患者が再び鬱になって診断を受けにくることは無くなった、とある。

面白いのはここからで、なぜ、こんなにも生存本能にかかわる、鬱を撃退することがわかっているのに人間は運動する様にプログラミングされていないのか?が書かれている。

その答えも太古に遡る。昔は食べ物をとるのも一苦労だったため、せっかくの食事にありつけたら、そのエネルギーを消費しないようにじっとするからだ。また、食べ過ぎに回避プログラミングがされていないのも、昔は食べ物を得ることがなかなかできなかったからだという。
うーーーん、納得。面白かった。

ちなみに、運動が鬱に対して良いとされている理由は、心拍数にある。心拍数が上がっている状態=ストレスのため、運動することによって何度も何度も心拍数を上げる訓練をしていると、脳がそれを正常とみなすらしい、そうやって鬱を撃退する仕組みだそうだ。

そして、鬱になる(なるまでにはいかずとも悩んで悶々としている)時間は、決して無駄ではない。それも、脳が立ち止まることを必要と判断したからだ。必要とあらば、脳が気分を微調整し、心配を感じさせ、家に引きこもらせたりさえする。

また、孤独も本能的に回避したがる傾向がある。これも昔はみんなで協力して生きていたからだ。孤独を感じる人は、実際に早く死んでしまうことも現代社会ではわかっている。
少しでも離れた家族と電話することで、孤独を軽減できるらしい。ちょっとの時間を使って、コミュニケーションを取ろう。誰かを救えるはず。

結果的に、自分一人で楽しいことをやるよりも、お金があることよりも、友人に恵まれたり、自分が社会に役立っているかどうかで幸福は決まるそうだ。たしかに、92歳になっても地域の人とコミュニケーションをとって仕事をしているじいちゃんを見ているとそう思う。長生きの秘訣でもある。

では、この現代のスタイルが新たにプログラミングされた未来、人間はどんな生き物になっているのだろう…想像が膨らむ。

【以下、心に残ったところを引用する】

・常に精神的に元気でいるのは非現実的な目標である

・脳が強ければストレスや苦難や孤独の影響を受けずに済むわけではなく、生き延びるためにベストを尽くせるのだ。

・脳が機能不全に陥っているとか病気だとか思うなら、「脳の最も重要な任務は生き延びること」だというのをわすれてしまっている。

・先祖が不安を感じやすくなければ、あなたも存在していない。

・つまり幸福感というのは消えて然るべきなのだ。でなければ感情は私たちを動機づけるという本来の目的を果たせない。

・あの仕事につけさえすれば、新しい車さえ手に入れれば、給料さえあがれば、、、、人生に満足できるはずだと思う。しかしどれを実現しても、幸福感は驚くほどすぐに新しい願望と入れ替わってしまう。

・つまり常に幸せな気分でいる方は、調理台のバナナがあなたを一生満腹にしてくれるくらい非現実的なのだ。

と、いうことで「恵まれたニート」の満たされない気持ち、は人間である以上しょうがない、生存本能によってプログラミングされているよ、というところに落ち着きました。これでいくらか、漠然とした不安から、「いま」に集中できます。本を読むことは大切だなとつくづく思います。

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