飲むのも食べるのも運動も、全力ではいけないお年頃

 痛風って、おじさんがなるイメージじゃないですか?
 風が吹いても痛いくらいの症状だからそういう名が付いたという。多くは足首や足の親指近くらしく、激痛で歩くのも辛いそうだ。
 何故なるのかは、簡単に言えば不摂生をするから。

 でも遺伝的なものもある。夫は元々尿酸値が高かった。体型がいかなる時も、検査をすれば尿酸値は高い。夫の父親もそうだった。夫の弟もそうだ。三者三様の体型なのに。
 もちろん遺伝的なものだから、体質だからと、あきらめなくても生活を改善すれば良くなる。(夫は病院にも通っているから、医師と話もできる。)ストレスや運動、飲食の仕方で尿酸値は高くなる。尿酸値が高いと痛風の症状が出やすい。
 

 今年久しぶりにジョギングを復活させていた。急な運動は尿酸値が高くなるので、再開する時には特に、少しずつ始めていった方が良いそうだ。10~15年前はマラソン大会にもよく出ていたのだけど、やめてから5年ほどだろうか。時々思い出したようにウォーキングしてみたり、ちょっと走ってみたりするけど、今回は久しぶりに熱心に走り始めたところだった。

 食事は、プリン体の高いものは出さないように気を付けていた。干した物や魚肉の内臓、卵系の物など、美味しい所が凝縮されたような物にはプリン体が多く含まれがちだ。プリン体は人の体を作るものとして大切な成分の一つではあるけれど、身体から排出する量を超えて摂ると、尿酸値が上がってしまう。
 夫はエネルギーを摂りすぎがちなので、納豆はそれほどカロリーないし血液に良いし、少しくらいと私も油断していた。でも納豆もプリン体が多く含まれるものとして有名なのだ。それがここ半年ほど「うんめー! どうしてこんなに納豆って美味しいのか!」とやたらに納豆を食べていた。自分で買い足してまで。

 さらにストレス。
 今年度入ってから休みがほとんどなくて、土日もほぼなかった。時間ができたら休んだり、気晴らしに映画観に行ったりはできたけど、一日を通して休みはほぼなかったんじゃないかな。だいぶ疲れがたまっていただろう。

 そしてよく知られているアルコール。
 夫はアルコールなら何でも大好きだけど、今年は特にビールをよく飲んでいた。外に出て飲めないから、段ボールで缶が届く。最近のビールは、クラフトビールが多くて種類がとても豊富。「これはこんな匂いでこんな味!」と違いを楽しむ飲み方ができるのだ。
 「へえ面白い」と言って私に一口勧めてくる。私はビールはあまり得意ではないので、ほんの一口ねと口にするけど、その度に違う香りや味がして確かに面白かった。

 思い返せば生活の全部が痛風に向かっていた。

 ある日「痛風なのかも」と足を引きずっているではないか。

 アラーン!

 実は夫は尿酸値が常に高かった割に、そして体型の割に、痛風の症状が強く出たことはほぼない。私の記憶では、痛風で苦しんでいる様子は初めて見たんじゃないかな。
 ああもう歳なんだよ、身体に表れるようになったから、ちょっと抑えた方が。
 と情けなく笑うしかなかったけど、やっぱり夫が誰より痛感したようで、2週間ほど納豆を控えめにし、急激な運動を休み、断酒した。
 その後、アルコールの入っていないビールを飲み「もうこれは違う飲み物だ」と言いながら「これはこれで良いのだ」と納得していた。
 ところが数日後。
 「つまらないからこれにする」と、カナディアンドライのダイエットを買ってきた。ダイエットドクターペッパーも段ボールで送ったようで届いた。

 もう俺は炭酸だったらそれで満足なのさ。

 夫も自分で笑っている。

 今はビールのアルコール度数ができるだけ低いものを選び、炭酸で糖度の低いジュースを飲む。そしてごく稀に「今日は俺は頑張ったんだ」と息抜きにビールを飲んでいる。
 このくらいが体のためには良いのだろう。

 身体を大切にしようと思う気持ちが、歳を追うごとに切実になってきている。

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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。