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田舎で庭があると大変なこと~今年の買ってよかったもの(2)~

 田舎だから庭がムダに広い。
 そんなそんな。謙遜してるみたいに言っちゃって、本当は広くてうれしいんでしょ。なんて、昔なら思っていたかもな。

 土地の広さは周りとほぼ同じで特別にウチが広くもせまくもない。この辺はみんなこんなもん。

 そして我が家に限っては残念ながら本当に「ムダに」なのだ。だって有効活用していないからだ。
 植物を楽しむ人たちからしたら、もったいないことしていると思う。でも私は大人になるにつれて、虫が極端に苦手になってしまった。樹木を育てたり花を育てたりするより、愛でるだけで良いので、人んちの庭で満足する。

 なので庭があったところでありがたいことがない。
 息子が小学生の頃は少し遊んでくれたけど数えるほど。
 家を建てた頃に夫が「ジャガイモ植えたい」と、ホワンとした表情で思い描いていたようだけど、どうやら今のところその余裕はなさそう。

 私たちの現実は。
 除草に追われる。芝刈りと草刈りにうんざりする。
 雑草抜いていてギックリ腰に何度もなった。
 虫がキライすぎて、草抜きしている時に虫が視界に入るのがつらい。
 土いじりしても私はどうもいやされない。きっと本当は人として自然な行いで、脳に働きかけるはずなのに、私の脳は抗ってくる。絶対に、本当は、本来なら、人はいやされるんだ! と庭に向かうことがもうストレス。

 なのに、なのか、なので、なのか私はケチっていた。
 草刈り機を買うことに対して。

 1台目のそれは、重たくて音が大きくて。周りにうるさかったんじゃないだろうか。「アラ。滅多に庭に出ないかわせみさんが草刈りしているわ」と近所に丸わかりで(たぶん誰もそんなこと思っていない)それもまた恥ずかしかった。
 安いからか何年かすると充電池が早く切れてしまうようになり、そのうち音ばかり大きくて草をあまり刈ってくれなくなって、ただただ労力だけが費やされるようになっていった。
 2台目のそれは、少し軽くなったけど、切れ味悪くてやっぱり音が大きくて、しかも更年期に突入していたので、その頻度もますます減った。
 重いからいやだ。春になると草が伸びる。
 音が大きいからいやだ。晴れと雨が良い具合に繰り返されてもっと草が伸びる。
 伸びた草は刈りにくくていやだ。どんどん草が伸び続ける。

 特に昨年は、五十肩で重たい物を持てず、更年期によっての倦怠感がつらすぎて、庭仕事までエネルギーが回らない。
 昨年の秋と今年の春、業者に頼んだ。

 「もう庭がひどくてどうしたら良いかわからない」すくすく育った草たちを前に悲痛なのだけど、業者さんたちは、そんなこと言われたらヤル気倍増! みたいに目をキラキラさせて頑張ってくださった。

 でも毎回頼んでたら高いのよ。
 シルバー人材に頼むと、登録している近所の人が来てしまいそうで頼みづらいし。

 夫も平日の仕事で精神的にヘトヘトなのを知っているから、「やらなきゃ」を増やしたくない。夫も庭仕事でいやされるタイプではないようだ。

 そしてこの夏の終わりに、とうとう宣言した。
 
 「もっと良い草刈り機を買う!」

 とは言っても、前回と前々回のが安すぎただけなので、そんなに本格的で高級なものをねらっていたわけではない。
 「草刈り機」で検索してもやたらめったら出てきてよくわからないので、値段と口コミを参考にしながら選んでみた。

 購入したころは倦怠感がつらくて、最初は夫にお願いした。

 何故か「見てて」と言われた私が、玄関前にどっかりと座って夫の作業を見守る。という妙な二人体制。
 軽快に動いた夫だったけど、それまでの二台は触ったこともなかったため、特に感想はなかった。

 ただ見ていて思ったのは「音が小さい」。

 これなら意識過剰になってしまう私も近所の目がそれほど気にならないではないか。

 元気な日があったら、自分でやってみよう。
 

 と思ってから二回使った。

 「かわせみさん宅の草刈りが始まった!」と思われるような大音量もなく、持っても軽いし、なにより今までよりよく切れる。

 楽勝や~ん!

 心の中で小躍りしながら草刈り機を使った。
 とは言っても、どうしても作業直後は手がわなわなしてしまうのだけどね。お茶を持つコップがぶるぶるする。ぶるぶるで勝手に口の中にお茶が入ってくる。数日間、筋肉痛に見舞われる。まあそれは運動不足ってことで。

 たくさんあるから迷う草刈り機。安すぎても使いにくい物があって銭失いとなってしまう。だからって自分ちの庭の雑草程度ならそんなに本格的な物も要らない。
 そんな中、音が小さめで、軽くて、よく切れる物なら、更年期でしんどい私でもラクにできちゃうよー。というかその切れ味が楽しくて以前より使う頻度が増えそう。
 三度目にして人にも勧められるような草刈り機に出会えた。




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