あの日、自分の時間に喜びを感じたかったのだ
フォローしている中に、赤ちゃん生まれたてとかまだ幼児期とか、ご自身のお子さんたちに対して体力的にも奮闘している方々がおられる。
そういう方たちの日常や感じたことを読みながら、つい湧いてくる「なつかしい」感情はあるけど、やっぱり「大変そう」。
ご本人が眠れないとか、子供を追いかけまわしたり付き合いきれなかったりでヘトヘトに疲れてしまうよね!
「今だけでも自由にしておいで」と親になった皆さんに告げて、子供たちを抱っこしに、あるいは遊び相手をしに行きたくなる。
つかの間の「自分の時間」がなんと貴重に思えるか。
私は……いや私「も」なのかな。みんなそういうものなのかもしれないけど、子供ができたって、子供いる前からずっと自分の時間がとても大事で。妊娠期間もだいぶギリギリまで喫茶店とかカフェとかに行って本を読み、文を書くのを楽しんでいた。
そして子供ができると眠れないやら自分の時間がないやらで気がおかしくなりそうなので、働いていなくても一週間に数時間で良いから預けてみてもらっていた。
あと私は睡眠不足でメニエールを引き起こす。まだ事情もわからない子供がいるのに親の自分が起き上がれない状態になるのは怖かった。夫が出張中や仕事中にも何度かあって、グルグル回る世界で横の壁にぶつかりながらオムツを変えたこともある。だからそうならないうちにきちんと休まなければならなかった。
都市部に住んでいたため「リフレッシュのためにどうぞ使って下さい」の言葉に甘えて預ける日もあった。もちろん下調べ、下見もきちんとして。
でも田舎街に引っ越すと、働いてもいないのに預けるなんてなどと嫌味を言われて泣きながら帰ったことも。
快く引き受けてくれる園をようやく見つけたけど、そこでおたふく風邪をもらってしまい、けっきょくそこから快復するとあと数か月で幼稚園が始まるのだった。
なので本格的に日々、自分の時間がもらえるようになったのは、子供が幼稚園に通うようになってから。
ようやくだ。やっとだぞ!
当時かんしゃくが強くて、母子が集まる場所でも必ず大泣きしていた息子は、まわりからも「手がかかる大変そうな子」と認識されていた。そんな私も解放される!
家事を好きなタイミングでしっかり集中してできる!
布団を焦らず直し、洗濯機を回し、皿をのんびり洗い、片付けをし、気をつかわずに掃除機をかけ、洗濯物を干し、拭き掃除も……。
ふと時計を見ると迎えに出る時間まで20分ほどしかない。最初のころはお昼までだったのだ。
ひー!
もっと自由な時間ができたはずなのに。
カフェに行けなくても家でコーヒーとか紅茶とか飲むんだぞ。と思っていたのに。
野望が打ちくだかれそうになった私は慌てた。
どどどうしようと無駄にウロウロした後、意を決してお湯をわかした。バタバタと紅茶を作り、マグカップを持ったままこぼさないようソファにすわる。あと10分じゃないか。あちち! 舌が、唇が、熱くて痛い!
「あっつ!」とか騒ぎながら必死で紅茶を飲む。
安らがない。
けど飲んだぞ。
「よし。これで私は自分の時間を楽しんだんだ」
思ってたんとだいぶちがったけど、そう言い聞かせながら子供を迎えに行った。
そんな、息子の登園初日。
友達は「急に家の中に一人になると手持ちぶさたになっちゃって。オリの中の動物みたいにリビングをなんだかウロウロ歩き回ってしまった」と言っていた。
きっと多くの親にとって思い出深い日。無駄にウロウロしてしまう日。それまでの私たちには無駄な時間もなかった何年かだったんだろう。
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。