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こどもの発語。喃語、片言、バックトゥザフューチャー。

こどもが言葉をしゃべりだしてからの数年は本当におもしろかった。

0歳6か月のとき一度、「まんま」「ねんね」と言った。
しゃべったのか、たまたまそういう音になったのか。
あまりマンマのような赤ちゃん言葉は使わずに育てていたのだけど。

10か月ごろは「んーにゃ」「でやー」「どぅわー」「えじゃ」「ばぶ」など。
ばぶ、が出たときは、ついに出た!イクラちゃんだ!と思って、
帰宅した夫に報告すると、「うおー、イクラちゃんきたかー!」と感激、
サザエさんなんてまだ知らないこどもが、何言ってんだ?という顔をしていた。

一歳前後の頃は「たいたいたいたいたい・・・」みたいな、音のくりかえし。
夫がおむつを替えていたら、ごきげんで「たいたいたい・・・」と言っていて、
夫は「痛くないやろ?」と返事していた。
「たかいたかいたかいたかいたかい・・・」という変化版も出てきた。
後々に「たいたいたいたーいち」になり、
「わんわんはみがきたーいち」(ワンワンはみがきだーいすき)にもなった。
いないいないばあっ!には一時期すごく熱中して、
録画したお気に入り回を何十回と見たり、オープニングが流れると
「ない、ない、ない、ば、ば、ば、ば、ば、ばー!」と
コンサート会場の熱狂的ファンみたいに叫んでいた。
あの様子は動画を撮っておけばよかった、とつくづく思う。
「ぶえぶえぶえぶえ」とか「て、て、てやー、て、てやー」
「めんめんめんめん」「やいやいやいやい」とかもあった。
「rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr・・・」と巻き舌で小鳥みたいな声を出していた時期もあった。

1歳3か月くらいに、一回だけしゃべった言葉が2つあった。
「お母さんいそいでお風呂入ってくるけど、待っててくれる?」
って聞いたら、
「だいじょぶ」
大丈夫って言った!ってすごくびっくりした。
同じころに同じ状況で
「行っといで」
って言ったこともあった。
「え?今しゃべった!?もう一回言って!」
と聞き返してもただ黙ってじっとこちらを見ていた。

同じころ「おどー」(お父さん)「おかたー」(お母さん)
「おたたー」(終わっちゃった)「いたたー」(行っちゃった)
なども言い始めた。

その後、単語が増えてくると傾向が見えてきた。
単語の後ろのほうから覚えている。
あっくー(トラック)
おーしゃ(自動車)
あふ(トーマス、あるいはバス)
はん(ごはん)
さいさん(うさぎさん。ミッフィーのこと)
わったー(終わった。録画の再生が終わったとき)
やえもん(ドラえもん)
録画番組が見たくて「あふ!あふ!」と言っているのが、
トーマスなのかバスなのか、何回聞いても「あふ!」しか言わず、
いちかばちかバスの特番を流したら「あふー!!」と泣かれた。
正解はトーマスだった。

あるとき、その機関車トーマスを見ていたこどもが、テレビを指さして
「いにゅ」と言った。
確かに犬が登場していた。
「そう!犬だよ!犬わかるんだ。すごいねえ」
“いぬ”じゃなくて“いにゅ”になってる、うわぁかわいい、
と感動していると、うれしそうに再び指さして、
「いにゅ!」
しかし映っているのは羊だった。
「あぁ、それは犬じゃなくて羊だよ」
その瞬間、漫画だったら横にガーンと書かれそうな顔をしていた。
しまった、ショックだったかも。この子すごく些細なことで心折れるから、
どうしよう、泣いちゃうかな、とこちらも固まっていると、
今度は哲学者みたいにじっと立ったまま考え込んでいた。
とりあえずギャーって泣くことはなさそうだな、とそっとしておいた。
四つ足動物≠犬なのか、ならば犬とは?・・・って考えていたんだろうか。
その後は犬と犬以外を間違えたことはなかった。

同じ音を繰り返しがち。
ごーしーしーしーしゃ(ゴミ収集車。“しー”が一個多い)
じょうきききかんしゃ(蒸気機関車。これも“き”が一個多い)
たけたけごはん(炊きたてご飯)
ほっかいみるってってって(もう一回見るって。“って”が多い)
どややき(どら焼き)
みどみど(みどり色。みどり感が倍増、アオミドロを連想させられる)

音ひっくり返しがち。
おちゃばん(おばあちゃん)
ひいじおじいちゃん(ひいおじいちゃん)
いつすびー(三菱。“びし”がひっくり返ったか?)

ぺらーり(フェラーリ。 高級感がどっかいってる)
カッカッビー(テレビ。一文字しか合ってない。全然分からんかった)
えっあいあ(『デザインあ』。雰囲気は出てる)
ぬるぬるして(塗り塗りして。ぬりえを持ってきて塗ってほしいと。動詞原型?)
そーそーさん、ほーいーにょ(ごちそうさん、もういいの)
はいじぇ(はいどうぞ)
キパキパ(ピカピカ。すごく言いにくい。子音だけ逆になってる)
むし(虫または牛)
じゃめ(ダメ。フランスっぽい)
ぽーふ(豆腐)
ぷね(船。ハ行がパ行になる?)
かーいーす(カレーライス)
さここん(パソコン)

言葉じゃないけど、笑い声が独特だった。笑いの大きさ順に、
ふげ < ふんげ < ふんげー
ふんげーって何?こんな笑い方する子いる?って不思議だった。
0〜3歳くらいまでこの笑い方だった気がする。
大きくなったら普通に笑ってる。

夫のあやし方も独特だった。高い高いをするときにいつも、
「びやびやびやびやー」
と言っていた。びやびやって何??何年も後に聞いたら、
「そんなこと言ってたっけ?」
と覚えてなかった。永遠に謎になった。

かたことで一番わからなかったのは「はーすいぷ」だった。
日に何度も言うのに分からなくて、夫に聞くと「あれやろ」とわかってる様子。
だいたい私の方が分かるのに、何で?と思って数日。
お気に入りの録画番組(リアルスコープの乗り物回)を見せていたとき、
テレビ「蒸気機関車がタイムスリップー!」
蒸気機関車のプラレールで遊んでいたこどもが
「じょうきききかんしゃがはーすいぷ!」
鉄道が出てくる映画ランキングのバックトゥザフューチャーパート3の紹介。
はーすいぷはタイムスリップだった。

その後3歳4歳の頃はバックトゥザフューチャーにはまっていて、
テレビで録画したのを何回も見て、なぜか本編前の解説を丸暗記。
「高校生のマーティーは・・・」に始まるあらすじを暗唱していた。
解説者の口調そっくりに楽しそうに。
そのころ、自分の言葉はまだ二語文か三語文だったし、
幼稚園の先生に、話に時制が無いですね、と言われたけど、
タイムマシンに夢中だった。
幼稚園の先生から他の子より言葉が遅いと言われた時、
でも長い文章を暗唱しているんです、と言ったら、
先生は、え?って感じだったけど、こういうパターン珍しいのかな?

バックトゥザフューチャーといえば、
私は十代の頃に父とテレビで見ておもしろかった記憶がある。
幼児期に見てどうなのか、暴力的シーンとかは大丈夫かな?と思ったけど、
一緒に見てみると、乗り物目当てで見ているので他は気にしてない様子。
一つだけ、悪影響というほどのことではないけど、
私の頭をポンポンして「だれかいますかー?」ってビフの真似をして、
お父さんに「それはちょっと、やめとこうか」と言われて、
ん?よくないことなの?って顔してたことはあった。

パート1から3まで、吹き替え版、字幕版、繰り返し見ていた。
全部足したら何十回だろう。
そしてあのころ夫はデロリアンの絵を何度も描かされ、
雷の電流を受け取るためのバーも描くようダメ出しされ、
こどもはカーズ、トーマスと同じくらい、パート3の機関車を描いていた。

昨年だったか、テレビで放送されたレストア版も見た。
翻訳が少し違う、声優さんも違う、こどもの着眼点も違ってた。

そしてこの前、BS1でこどもと一緒に見た番組、
『バック・トゥ・ザ・フューチャーあせない魅力の裏側』
がすごくおもしろかった。
タイムマシンがデロリアンじゃなくてただの冷蔵庫だったら、の映像を見て、
こどもは「なにこのクソコラ感」と大笑い。
そしてビフのモデルがトランプ氏だという話には驚いたけど、
そう言われてみれば似ている。
現実が映画のパート2の未来みたいにならないでほしいと思った。

話を戻して、幼稚園時代にこどもが言ったかわいかった言葉。
おにかい(お2階。幼稚園の“おにかい”には広い遊戯室があった)
おことりさんのはね(お小鳥さんの羽根。募金の赤い羽根をもらってきた時)
お母さんの名前は“〇〇おかあ”でしょ、だってみんなお母さんて呼んでるもん。
(でもお友達のお母さんもお母さんて呼ばれてるよ?って言われてハッとしてた)

7歳8歳になると、好きなものについてしゃべりまくるようになり、
時には1時間2時間も話しかけてくるようになった。
6歳くらいから出ている吃音も気にせず、大きい声で。
家事してようが移動しようが追いかけてきて、
車のエンジンについてとか、トランスミッションの種類とか、相対性理論とか、
最近は地政学みたいなことや政治や軍事、ジョジョの話など、
私が聞いてるか理解してるかはほとんどお構いなしでしゃべっている。

赤ちゃんの時は、泣いてても何で泣いてるかわからないことが多く、
深刻な症状だったらどうしようか不安で、
早くしゃべれるようになって理由を教えて欲しいと思ったけど、
こんなにしゃべるようになっても、興味のないことには無反応。
こちらが知りたいことを聞いても、答える気分じゃないと無言なので、
わからないときはやっぱりわからないのだった。

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