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大人になってからの学び

夫の弟(40代半ば、会社員)がこの4月から大学院に行くという。夫が母親からのLINEでそれを知って、
「博士取りに行くんだって」
と心なしか寂しそうにぼそっと言った。
「お父さんも取ればいいじゃん!」
と言ってみたけど、
「うーん」
と全くやる気はなさそう。夫は修士卒。自分も行きたいってわけじゃないらしい。でも詳細が気になったのか珍しく弟と連絡を取ったようで、
「月2回くらい行くんだって」
と言っていた。

私の友達にも去年大学院を卒業した子がいる。学生時代の吹奏楽団の友達で、人一倍熱心に個人練習に励み、がんばりやさんの、といつも名前の前につけられるような子だった。医療の短期大学部を卒業した後、何度か転職し、数年前から仕事のあとに大学院に通って卒業した。

同じく吹奏楽団の別の友達は、大学卒業後フリーターをしていたけど、その後、卒業したのとは違う大学の違う学部に編入して卒業して、今は大学の教員になってる。

みんながんばるなあ、と、そういう話はうれしい。私は何をしようかなあって思う。

ホームスクーラーのこどもを見ていると、本当に学校という形に合わない子だなあと感じるとともに、私もだわ、と気づく点が多い。時間が決まってるのが嫌、途中で中断されるのは嫌、人に言われたことやるのも嫌、自分で思い立ったことを自分のペースでとことんやりたい、という性分。
そんなのみんな一緒じゃないの?と思われるかもしれない。
不登校になったころ、学校の先生にこどもが学校が辛い理由を説明した時に、
「みんなそういう気持ちにどこかで折り合いをつけて来てるんですけどね」
と、甘い親だなって顔で言われて、あまりの認識の違いに言い返すこともできず悲しかった。程度が全然違うんです、みんなは学校から帰って30分も玄関でぐったりしたり1時間も泣きわめいたりしないですよね、と言いたかった。

こどもほどではないけど、私も似たところがあるので、私がもし何かを学びたくて時間もお金もあったとしても、専門学校や大学院に通うのは無理だなあと思う。現実には、家から出たくないこどもを置いて出かけられないし、自分の時間が家事の合間で細切れ、というのもある。移動に割く時間もない。オンラインの講座だとしても、録画ならいいけどリアルタイムだったらその時間都合がつくとは限らない。学びでも仕事でも私にできることなんかあるのか?

あるとき、
“在宅翻訳者の仕事はほぼメールで完結します”
という情報が目に入った。その記事のニュアンスは、孤独でさみしいですよ、と言いたいようだったけど、私が逆に思ったのは、これって引きこもってる主婦(用があれば出るから、ひきこもり、とは思ってないんだけどゴミ出しと歯医者くらいしか出てない)にはちょうどいいかも?ってことだった。

ちょっと気になって、翻訳者の仕事やなり方、スクール情報などを調べたあと、まず「通訳翻訳ジャーナル」という季刊誌を買ってみた。史上翻訳コンテストの課題は見開き2ページだったので、これくらいなら読めるかもと、訳してみている。
最初、無料のDeepLに知らない単語を入れて意味を調べていたけど、入れかたが悪いのか、多分これは品詞が違うんでは?という訳が出る時もあったり、一個しか訳語が出なかったりで、お手軽だけど十分わかった気がしない。やっぱり紙の辞書引くか、とこどもに買った辞書を借りた。これが仕事ならもっと大きい辞書を使うべきなんだろうけど、とりあえずはこれでいい。

この雑誌の中の翻訳スクールの情報ページがかなりの分量あって、日本中にこんなにあるのかって驚くぐらいで、でも大体、基礎から専門分野まで一通り習おうとすると、一番安い通信教育でも数十万円かかるんだな、とわかり、そこまではちょっとなあ、と。専業主婦だし、こどもが学校に行かないぶん学費がいらないともいえるけど、違うところでお金が要るかもしれないし、自分にかけるお金は少なく抑えるに越したことはない。

“アメリア”という、翻訳コンテストをやっていたり翻訳の求人を扱ったり毎月情報誌を出している翻訳者のためのサイトがある。年会費が要るけど、翻訳者の会員の人は、仕事が取れればすぐ会費の元は取れるので、と言っている。私がすぐ仕事が取れるとは思えないけど、全く仕事にならなかった場合でも、この会費やコンテストの参加費で年間2万円か3万円くらいなら語学の趣味代だと考えても許容範囲じゃないかと思った。夫も
「まあいいんじゃない」
て言うので入会してみた。
「お父さんこれくらい払えるよ」
と夫は言ったけど、趣味なので、独身時代から持ってる自分の口座から引き落としにした。そのほうが気兼ねがない。

英検は中3で3級取ってから受けた事がないし、TOEICも受けたことがないので自分の英語力はさっぱりわからない。翻訳には日本語力も重要らしいけど、今までエッセイやなんかの公募に送っても何も受賞したことはないし、このnoteもそんなにたくさん読まれていないから、日本語もどうなんだかわからない。
でも読んだり書いたり調べたりというのは子どもの頃からずっと好きなので、しばらく気楽にやってみる。