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【書評】面白すぎる歴史の授業~『歴史とは靴である』(磯田道史)

『武士の家計簿』『無私の日本人』などで有名な歴史学者・磯田道史さんの本です。『歴史とは靴である』。面白くてためになって勉強になって、あっという間に読んでしまいました。これは読んでおいて損はない一冊です。

※書評一覧の目次はこちら

1、内容・あらすじ

磯田道史さんが、神奈川県の鎌倉女学院高校で行った授業を文字起こしして書籍化したものです。

「歴史は実用的なものであって、靴に近いものではないか」と考える磯田さんが、歴史を学ぶ意義や歴史と史料との関係、歴史小説と時代小説の違いなどなど、歴史について幅広く、でも分かりやすく講義をしています。

授業の合間に喋った「ゆるキャラ史」や、生徒たちとの質疑応答も収録されています。

2、私の感想

講義口調なのでとても読みやすく、内容がスッと頭に入ってきます。それでいて「意味の含有率」(by齋藤孝先生)がとてつもなく高く、コストパフォーマンスの高い一冊です。

何より、磯田さんの博覧強記ぶりに驚かされます。歴史学はもちろんですが、政治から経済から文学から工学から古典芸能から、何でも知っています。圧倒的な知識量です。

歴史について、今まで考えもしなかった切り口からの見方が次から次と提示され、それらにいちいち納得させられます。目からウロコどころの話ではありません。歴史学を見る目が一変します。

今まで、茨城大学などで教鞭をとられていたそうですが、磯田さんの講義を直接受けていた人が羨ましくてなりません。

最近の、人文学系学問軽視の風潮についても「総合力が落ちる」と、警鐘を鳴らしています。戦時中の零戦とB29の例え話が実にわかりやすくて納得。文科省は磯田先生の言うことを聞いてほしい。

そして、講義後に磯田さんが質問を受け付けているのですが、かなり高度な質問をしている鎌倉女子学院の生徒さんもすごいと思いました。

3、こんな人にオススメ

・歴史好きな人
より一層歴史が好きになることうけあいです。

・中学生、高校生
とてもわかりやすく書かれてあるのでよく理解できます。学校の授業より面白いかも……。

・磯田道史ファン
実は私もファンです。ファンとしては押さえておくべき一冊かと。



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