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【書評】死を意識して今を大事にする〜『もしも一年後、この世にいないとしたら。』

私は、「自分が明日この世にいないかもしれない」と思って生きるようにしています。

……と言うと、たいてい変な顔をされるか、「またまた大げさな……」という反応が返ってきます。

死を意識して生きることはとても大事なことだと思うのですが、この考え方は受け入れられないことが多いように感じます。

そんな私にとってこの本は大いに共感できる内容でした。国立がん研究センターの清水研先生による『もしも一年後、この世にいないとしたら。』

※書評一覧の目次はこちら

1、内容・あらすじ

国立がん研究センターで「精神腫瘍医」としてがん患者と向き合ってきた清水研先生。

精神腫瘍医とは、がん専門の精神科医および心療内科医のこと。

清水研先生は、国立がん研究センターで、3500人以上もの患者さんの話を聞いてきました。

その患者さんたちからはたくさんのことを教えられたと、清水先生は言います。

柳のようにしなやかに立ち上がる力を人は持っていること。

苦しい立場でも、誰かのために頑張りたいという人がいること。

「もうだめ」と思ってから出てくる強さがあること。

自分に残された時間をどう生きるべきか、を考えさせられる内容です。

2、私の感想

私は、自分の身に起きたいくつかの出来事から、

「この世は無常であり、今日と同じ日が明日も来るとは限らない。全ての物事は今のままではあり得ず、愛情さえも例外ではない。この世は無常だからこそ、目の前の今を大事にして生きる。」

という考えを持つようになりました。(私が書いている学級通信のタイトルも『今を大事に』です)

きっと、大病や災害を経験した人は、同じように考えるのではないでしょうか。

この本に登場するがん患者の方々はまさにそうです。清水先生はこう書いていらっしゃいます。

今現在健康でいらっしゃる方にあえて伝えたいことがあります。みなさんも岡田さんのように突然がんの宣告をうけるかもしれませんし、あるいは事故や天災などに遭うことも絶対にないとは言えません。 そのことに対する恐れで頭がいっぱいになってしまってもよくないですが、「健康はいつ失われるかわからないもの」であるし、「いつかは必ず失われるもの」という意識をこころの片隅に持っていたいと私は思います。 なぜなら、「今日健康で一日を過ごせることはありがたいこと」という感謝の気持ちが芽生えるからです。  

この箇所も、「この世は無常である」ということ同義だと思います。

人生の期限を意識して、今生きている時間を大切にする。今まで以上に、そう思えるようになりました。

3、こんな人にオススメ

・喪失を経験したことがある人
人間には必ず立ち直る力があることがわかります。

・病気と闘っている人
共感し、励ましをもらえることと思います。

・死について考えたことがない人
ぜひ読むことをオススメします。普通の生活がいかにありがたいか、がわかると思います。

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