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【書評】違う性で生きることを決意した男性の告白〜『総務部長はトランスジェンダー』(岡部鈴)

これは一年ほど前に、Kindle版のセールで安くなっていたので、題名に惹かれて読んでみた本です。『総務部長はトランスジェンダー』。作者は岡部鈴さん。

ものすごく引き込まれて、一気に読んでしまいました。

おととい(2020/03/21)、NHKを見ていたら、この本がドラマ化されていてびっくりしました。主演はムロツヨシさんでした。適役。

※書評一覧の目次はこちら

1、あらすじ・内容

飲み会の余興で女装したことをきっかけに、「トランスジェンダー」になった男性の自伝的ノンフィクションです。

作者は47歳で妻子あり、会社では総務部長という重責を担っています。

ふとしたきっかけで、女性になりたい自分に気づきます。最初のうちは、たまに女装をして楽しむだけでしたが、次第に女性として生きたいという気持ちを抑えられなくなっていきます。

最終的には女性で生きる決意をし、全社員向けのメールでカミングアウト。それ以降、毎日が大きく変わることに──。

2、私の感想

最初、小説だと思って読んでいて、ノンフィクションだと知ってびっくりしました。

弘兼憲史さんの『黄昏流星群』というマンガに、少し似たような話があったなあ、と思い出しました。

最近は芸能人、有名人の活躍もあって、こういう人たちもあまり偏見の目では見られなくなってきたんじゃないかと思います。

でもその一方で、私も含めて、世間の人はあまり正確に理解していないかもしれません。

この方のように、女性になりたいからと言って、恋愛対象が男性であるとは限りません。「トランスジェンダー」と「性同一性障害」も純粋にイコールではありません。「LGBT」はこれらの総称、という理解で合っているでしょうか。

とにかく、性のあり方は多様なんだ、ということがわかりました。無知が偏見を生むので、もう少し調べてみたいと思います。教育の現場でもこういう知識は必須になってくるはずなので。わかりやすく一冊にまとめられている本を探してみようと思います。

そして、最も強く思ったのは、「家族の理解を得るのはそう簡単ではないだろうな」ということです。

この方の場合、奥さんは最終的には少しずつ理解してくれたようですが、息子さんはどう思うのでしょうか……。多感な思春期、受け入れるにはある程度の成熟が必要かもしれません。

今回ドラマ化されたことがきっかけで、また多くの人が手に取ればいいな、と思います。

3、こんな人にオススメ

・このドラマを見た人
ぜひぜひ原作を。ドラマは細部を若干変えているようです。

・自分の性に違和感を感じている方
きっと大きく共感できるのではないかと思います。

・ムロツヨシさんのファン
実に好演でした。ムロツヨシさんを思い浮かべながら読むといいです。

ドラマは昨日一夜限りの特別放送だったようです。再放送、DVD化を望みます。

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