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モンゴルときもの旅日記④~モンゴルで『月刊 岩ときもの』*遊牧民のお宅で着物の着付けをやってみた(1)~

2019年11月に、「着物で地域を活性化して、地方に新たな風を起こすソーシャルビジネスをしたいんです!!」などと声高に叫んで、田舎×着物×地域の人材の活用×インバウンドの掛け算式に地域おこしの事業として着物アクティビティなる分野で起業してみた。

大分県地域課題解決型起業補助事業に採択され、台湾への海外出張を盛り込んでからの~ジェットコースター式に変更の波が押し寄せ、直前に渡航先が変更となり、モンゴルに行くことになった。
リンク:モンゴルに海外出張することになった経緯

そして、2020年1月。モンゴルに行くと決まってからの1週間で、あれよあれよと繋がって、モンゴルでの『月刊 岩ときもの』(※1)の撮影が行われることになったのである!

実現出来たのは他でもない。モンゴルの大学で日本語教師をしている友人のボルガーのおかげだ。

起業する少し前の2019年夏、ボルガーが日本に来る機会があった。彼女の美容師の師にあたる方との仕事の打ち合わせがあり、そのつながりで日本に来たボルガーと一緒に晩御飯を食べよう、とお声掛けいただいて、大分での再会を果たしたのである。

一緒にご飯を食べている時、モンゴルで着物に興味のある学生がいるから、いつか一緒に着物でコラボしたいね!なんて話をしたのだが、ものの数ヶ月で、私のモンゴル出張を機に着物でコラボが実現することになった。

モンゴルへの渡航前に、誰をモデルとするか?どこで撮るか?をメッセンジャーでモンゴルにいるボルガーに相談したところ、2人のモデルと、撮影地として遊牧民のお宅を手配してくれた。

彼女は、元工業美術専門学校の美容師の講師であるため、現役の美容師さんとモデルの経験がある学生に声をかけてくれていた。着物に興味のある2人が来てくれることになった。

撮影地の手配が意外と大変だったようだ。夏の観光シーズンならば多くの観光地が開かれていて簡単に見つかるが、私が行った1月下旬は一番寒い零下30度の世界が広がる季節だったため観光地は閉ざされていた。たまたま、ボルガーの妹さんの友達が今回の趣旨を面白がってくれて、撮影場所としての提供を快諾してくれた。しかも、そのお宅までの道のりを妹ご夫婦が案内してくれることになった。(遊牧民のお宅までは、定まった道が無い。それに詳しい運転手がいないといつまでも辿り着けない。もちろん、カーナビなど役に立たない。)

そんなつながりとタイミングでモンゴルの地に立った。
人も舞台も揃った。あとは私がやるだけだ。

覚悟を決めて、待ち合わせのホテルに迎えに来てくれたボルガーと車に乗り込み出発した。

途中、モデルの2人を拾って、快晴の空の元、遊牧民のご夫婦のお宅のあるエルデネ村に向かう。

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【移動途中の写真】(快晴だが、車外は零下25度)

途中から未舗装の道に入りウランバートルから約2時間半で、遊牧民のお宅へ到着した。

今回撮影でお邪魔するのは遊牧民のDashtseren Tseegii(ダジツェレン ツェギー)さんのお宅の移動式住居のゲルと遊牧地。着物を着替える場所として、ゲルのお部屋をお借りした。

到着するや否や、温かいモンゴルのお茶スーテーツァイでもてなしてくれた。モンゴルの遊牧民のお宅では、必ずスーテーツァイのお茶をいただいてからでないと、何事も始まらないのである。

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お互いの近況を話したりしているうちに、刻々と時間が過ぎていく。

「寒かったでしよーみんなが来るっていうから、はりきってバンシタイツァイ(ミニ餃子入りスープ)作っておいたわよ~食べましょ食べましょ~」
遠方からのお客をもてなしてくれるゲルのご主人ツェギーさんの奥さんの一言に、
「わーいわーい!バンシタイツァイ食べたーい❤︎」
とはしゃぐ私たち。

零下25度の極寒の外から一転し、プラス25度のゲルの中のぽかぽか陽気に加え、夢のような暖かいスープの誘惑に吸い込まれる。モンゴルの遊牧民の暖かさに包まれるって、素敵・・・このままここに居たいわぁ~

夢のような温かさに包まれそうになった時、我に返る。いやいや待てよ?何しにきたんだっけ?あたたかさに呆けていた私は、本来の目的を思い出す。着物を着付けて写真を撮るために来たのである。午後に出発して2時間半。この調子でいくと、日が暮れてしまうではないか!

「あのー、着物を着付けて写真を撮り終えた後に、バンシタイツァイを頂いてもよいですか?」

モンゴル人の楽しさに乗っかりそうになる気持ちを抑え、本来の目的を伝えた。

ボルガーが、「そうだわ。着物着て写真を撮らんといかんから、そちらを先にしよう!」とモンゴル語で伝えてくれた。

(つづく)

※『月刊 岩ときもの』とは、着物を着て岩場に行き写真を撮り、それを雑誌の表紙風に加工してインターネット上にアップするという活動です。紙媒体はなく、インターネット上でしか見られない雑誌で(しかも表紙ばかりがたくさん!)、コアなファンの方々からは「幻のエア雑誌」と呼ばれています。

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👘モンゴルときもの旅日記①~突然の渡航先変更~
👘モンゴルときもの旅日記②~女子トーーク!世界の民族衣装事情~
👘モンゴルときもの旅日記③~民族衣装デールの今昔~

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👘モンゴルときもの旅日記⑥~モンゴルで『月刊岩ときもの』*遊牧民のお宅で着物の着付けをやってみた(3)~
👘モンゴルときもの旅日記⑦~モンゴルで『月刊 岩ときもの』*遊牧民のお宅で着物の着付けをやってみた(4)~

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