見出し画像

ジュネーヴ+ローザンヌ_day20_ヨーロッパ建築旅行2018

181128_we_day20

ミラノからバスで北上し、6ヵ国目のスイス はジュネーヴにやってきた。ミラノからの道中イタリア北部の集落が車窓から見えたが、なんてことない建物がどれも迫力を持っていた。イタリアからモンブランの足下を貫通する長いトンネルを抜けて、フランスをかすめて、ジュネーヴに到着した。

到着した昨晩はもう疲れていたので、タイ料理屋で晩御飯を食べた。やっぱりアジアのご飯は美味しい。ただスイスは通貨がスイスフランだと知らなかった(無知)のでスイスフラン=ユーロのレートで会計してしまい、ちょっと損をした。そしてやはり物価がめちゃめちゃ高い。

この日は、ジュネーヴ駅から電車に乗って、ローザンヌへ行きスイス連邦工科大にあるSANAAのRolex Learning Centerを見に行く。本当は合わせてコルビュジエの母の家も見たかったのだが、冬季は見学できないということをスイスに入ってから知ったのだった、、。

レマン湖をぐるっと回りながらローザンヌを目指す。湖の対岸には常にアルプスやモンブランが背景として薄っすらと聳えていてなんだか距離感がなくなっていくような風景が続く。

大学からは少し離れた駅で降りて、バスに乗り換え大学に到着。バスを降りた目の前にRolex Learning Centerは建っている。

この建築のつくりは一目見て分かる。2枚のスラブに挟まれて生まれた1層分の空間がうねりながら地上から持ち上がり、床は丘のような地形をなす。

大学もそうだが、建物も特段セキュリティはないので遠慮なく入って歩き回る。若干のお前誰やねん的な視線を感じつつもホール部分以外は見て回ることができた。

建物がどのような感じで使われているかは、事前に知っていたものの実際に学生たちに使われている様子を見るとやはり感動するものがあった。問答無用の傑作だ。それと同時に、日本では明らかに達成されないであろう場所が、そこにはあってなんだか悲しくなるのもまた事実だ。

この建築の兎に角すごいところは、誰もが一度はイメージしたことがあるだろう空間をその鮮やかなイメージのまま成立させている点だと思う。設計の始めの一手目の時点で、目指すべき状態を皆が共有できるだけの強度がある。ただ、それをあらゆる現実的な条件による淘汰を乗り越えて維持し実現するためには、本当にたくさんの格闘があっただろうことは想像に難くない。

内部において特に効いていると思ったのは天井の綺麗さだった。触って確かめたかったが手が届くところがなかったので、ちゃんと調べたいと思う。

素晴らしい建築だった。

この旅を始めてからこっちに暮らす人たちのふるまいにはいろいろな意味で圧倒されることが多い。それは「日本人」にとっては時に羨ましく、時に不快に見えるもので、ただ建築は明らかにいきいきと使いこなされている。そういった西欧的なものにコンプレックスを感じるという構図は、クリシェだとしてもやはり実際に見ると感じるものだし、日本はどこかおかしいところだということもより意識されるようになる。
ただそれはやはりクリシェだと突き放して、スタンダードなどどこにもないのだと思い、日本においてポジティブに達成される状態を探りたいと思う。ただ日本的な状況に対する違和感は常に持ち続ける必要があるし、それでこそポジティブな日本性を考えうると思う。
そのためには日本という場所のことをもっと知らなければならないと強く思った。

Rolex Learning Centerの隣に最近隈さんがつくった建築もあってとても綺麗にできているのだが、あれの隣にあるとどうしても見劣りしてしまう、、。
   
ちなみにRolex Learning Center内にはちょっとした書架があり、建築の雑誌が30種類くらい並んでいるのだが、日本の雑誌はa+u、JA、GA Houseの3冊が置いてあった。むろん新建築や住宅特集は並んでいない。日本国内にいると雑誌の垣根をあまり意識することはないが、実際に国外では流通の仕方に大きな差異があるし、それによってアプローチできる領域も大きく変わっていることを意識させられた。

この日は、見学の後ジュネーヴまで戻り、少し散歩をして、スーパーで買った美味しくないレトルトで晩飯を済ませてお終い。
明日は、フランスに入ってついにラ・トゥーレットの修道院へ向かう。

190215@東京





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?