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大河「光る君へ」(30)つながる言の葉

 相変わらずの猛暑、そしてまだまだ続くパリ五輪の熱戦!に熱くなりっぱなしです。大河もついに30話、中盤を迎えましたね。早いなあ。今から、大河終わったらどうしよう何しよう、とロスの心配をしております。次の五輪がロスだけに。
 ……おあとがよろしいようで(よくない)すっかり脳がやられてますね暑さに。早く涼しくなってほしいです。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)&特別ゲスト

侍「ねえねえ右近ちゃん」
右「なあに侍従ちゃん」
侍「いい加減今年の大河の無慈悲さにも慣れて来たけどさー、まーた道長くんがまひろちゃん家に来たア!ってとこでつづくー?!しかも来週は休み?!ハア?!ってかんじじゃなーい?!」
右「侍従ちゃんけっこう冷静じゃん。まあ真昼間だし、ラブっていうより色々行き詰ってツラいからつい来ちゃったわ的な感じだもんね道長くん」
侍「いやいや!寿命10年分と引き換えの雨乞い、帝は定子さまのお子様ばっかり可愛がって彰子さま放置、からの倫子さまとのギッスギス、からのF4勢揃いBBQ会でいきなり飛び出た元カノ話ー!よ?これで何も起こらないワケないない!アタシにはわかるっ!」
少「晴明さまの仰られたお言葉、
『今、あなた様のお心の中に浮かんでいる人に会いにおゆきなさいませ。それこそが、あなた様を照らす光にございます』
が効いてますのね。道長さまにとっての光はやはりまひろさんなのだと再認識できて、ホっとするやら心配やらですわ」
王「晴明さまといえば雨乞いの儀式よかったわね。もう80代のはずよ、道長くんに10年貰ったとはいえ超人すぎる。ちょっとキュンときたわ私」
侍「あの祝詞?呪文?シーンだけ別番組か?!っていうくらい凄かったヨネ!まあアタシはキュンしなかったけど!」
右「五竜祭、っていう雨降らしの儀式らしいわね。御堂関白記(道長の日記」にも記録がある」

少「雨が降って本当にようございましたわ……井戸の水が涸れたままなら、家じゅう燃えてしまっていたかもしれませんものね」
侍「あー賢子ちゃんのアレ!まひろちゃんの𠮟り方超絶ド迫力でビビったけど、トーゼンだよねあそこはガッツリ〆とくべき。賢子ちゃんカーワイイけどいくらなんでも火つけはダメ絶対!」
王「まひろちゃん、書いた作品ごと燃えちゃったのも大ショックでしょうに、そこに一切触れなかったのは流石ね。理由も踏まえた上でただ行為のみを強く叱った。ちゃんと母親してるわ。為時ジッジが甘すぎだけど」
右「まあ、ちょい教育ママっぽいまひろちゃんと甘々の為時ジッジでうまくバランス取れてる気もする」
少「それにつけてもまひろさんの『かささぎ語り』読んでみたかったですわ……あれ、男女入れ替わりの『とりかえばや物語』ですよね」
侍「知ってる知ってる、氷室冴子さんの『ざ・ちぇんじ!』の元ネタよね!漫画も小説も読んだよアタシ!なっつかしいー!」
右「侍従ちゃんったら、私たち平安女子設定だから。それと『とりかえばや物語』も平安後期のはずだから時代が合わない」
王「紫式部サンは源氏物語以前にいろいろお話書いて、お友達に読んでもらったりしてたらしいから、その一つって解釈なんでしょうね、今大河じゃ」
少「冒頭とラストだけチラ見せだなんて、気になりすぎて眠れません……あんな風に失われてしまった物語はそれこそ星の数ほどあるんでしょうね。長く生き延びて来た『枕草子』や『源氏物語』はやはり別格なのですわ」
侍「話かわるけどさ、今回あかねさんって人出て来たじゃん?ホラ後の和泉いずみ式部。なんかすっごい既視感あるんだけどー、思い出せなくて」
右「あのスケスケ衣裳なら『空蝉』巻で出て来た軒端の荻ちゃんじゃない?あっそれより『常夏』巻の雲居雁ちゃんが近いか。あられもない恰好でうたた寝してて、内大臣パッパにお品がありませんよって叱られる場面」
侍「それもある!あるけどそうじゃなくてさあ、あの感じ……ああここまで出てきてるのにい!」
王「あのビジュアルと雰囲気だと、大輔命婦だいすけのみょうぶさん?ほら、末摘花巻で出て来た」
少「ああ、常陸宮の姫君をヒカルさまに押しつけ……いえ引き合わせたお方ですね」
侍「きゃーーーーー!そうだ、あかねさんのイメージって大輔命婦さんじゃん!ドンピシャ!キレイ可愛いモテ系女子で、ひたすらエロい!!うわースッキリした!」
右「侍従ちゃんうるさすぎ耳痛い。まあ『ひかるのきみ』でのイメージだとそうかもね。だけど大輔命婦さんはあんなハシタナイ恰好したことないわよ」
王「例によって色々混じってるけど、侍従ちゃんの意見にも一理あるかも。何せ大輔命婦さんはあのヒカル王子に
『ヒカルはお堅すぎて困るとお悩みの帝に、今のお忍び姿をお見せしたいものですわね』
 って言い放って、
『またご挨拶だね。この程度で人のこと言えるの君が?こちとらぐうの音も出なくなるネタ持ってんだかんね!』
 強烈カウンター返されたお方だもの。(※『末摘花』巻より超意訳)それはもう色々と(意味深)おありになったと推測できるわ」
少「まず以てヒカルさまと乳母子の間柄とはいえ、普通にあのような応酬が出来る時点で只者ではございませんものね」
侍「やっぱり恋愛巧者のモテ系女子には違いない!あかねちゃん断然親近感湧いた!マッサージも上手いかなあ?」
右「んなわけないっしょ」
王「とにかくまひろちゃんとは何もかもが真逆で面白いわね。今後の彰子サロンが楽しみだわ」
少「平安随一の女流歌人ですものね。お歌ももっと紹介されるかしら……ワクワクしますわ」
侍「んもー来週休みとか何なのマジで!!!」
右「ハイ、振り出しに戻ったところでまた再来週!」

 久しぶりのF4(藤原道長、行成、公任、斉信)BBQ、真夏のビーチ?と見まがうBGMと絵面が良かったですね。毎週8時からの大河に合わせてTwitter(x)もやってるのですが、この場面で
「鳥貴族」
というワードが飛び交ったのには笑いました。天才か。こういう当意即妙な一言がスっと出てくるのこそ真の教養というものでしょう。日本人の集合知凄いですわ。それにしても焼き鳥(雉)美味しそうでしたね。いっそ「光る君へ・平安F4焼き鳥セット」とか企画しないかしらん、鳥貴族のみならず秋吉(福井県の焼き鳥チェーン)とか?
 それはともかく、まひろ。ついに「源氏物語」に取りかかるのでしょうか。予告にも出て来たあの有名な出だし
「いづれの御時にか」
 は当時とてつもなく斬新だったという説があります(これもTwitter(x)でみました)。昔々あるところに、ではなく「いつの時代だったでしょう?」と読者への問いかけで始まるところが。 

 宮中で中宮彰子の存在感を高めるための突破口を見出したい道長と、物語を書きたい紫式部。次回からタッグを組むことになるのでしょうが、どんな会話が成されるのか、信秀の一件からの「より良い世の中にする」という主目的をどうすり合わせるのか、さまざま興味が尽きません。きっとまた大量の紙も登場しますよね。ふたたび越前の名が出てくるかも?その点でも楽しみです。
 それと和泉式部。実は今まで殆ど触れてきませんでした。歌も、知っていたのは百人一首の
 あらざらむ この世の外の 思ひ出に
 今ひとたびの 逢ふこともがな
くらいで、国文学科だったというのにまことに情けない有様でございます。平安文化・日記文学ご専門の川村裕子先生によると
「和泉式部は、勅撰集(天皇の選んだ歌集)に入った女子歌人のトップ。今でいうとレコード大賞100回連続獲得並びに松任谷由実+中島みゆきの100万倍売り上げ実績の歌人」
だそうな。す、すごい。で、今更お歌をちょこちょこ見ていますが、確かにどれもこれも情感たっぷりで直球ストレート、パンチの効いたお歌ばかり。これは是非とも「和泉式部日記」も読んでみないととなりました。いやー楽しいですね平安大河!
 来週はお休みで寂しいですが、番外編で何か書こうと目論んでます(←さあ言っちゃったぞちゃんとやれよ私)。
 とはいえパリ五輪はまだ続きますしパラも始まりますし、当分は応援の日々です。人生で特に何を成し遂げたわけでもないけど、何でも楽しめる自分を褒めたい(笑)。
 ではではまた来週再来週。
<つづく>


「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。