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睡眠の質と免疫について/たくさん眠れば風邪をひきにくい

睡眠の質と免疫の関係

睡眠の質と免疫機能には関連があります。睡眠時間や休息感などをもとに
評価した睡眠効率と風邪の発症の割合を見た研究では、睡眠効率が高い人ほど、風邪の発症率が低下しました。 免疫機能の1つに、抗原抗体反応と呼ばれる仕組みがあります。 異物(細菌やウイルスなど)が抗原であり、私たちの体内ではこの抗原に対して抗体と呼ばれる免疫物質を作り、異物の排除へと働きます。 この抗体をつくるための抗原の情報は長期間、免疫細胞に記憶されるのですが、この記憶期間と睡眠の質とが深くかかわっていると考えられています。

出典: Cohen S, et al. Arch Intern Med. 2009;169:62-7.

上図は21~55歳の健康な男女153人の14日間の睡眠時間や休息感などを聞き取り、眠りの質を評価。 その後、風邪ウイルスを鼻に投与し、風邪の発症率を見ると、眠りの質が良い人ほど発症率が低かった。

睡眠の質が悪化する原因

平日と休日の就寝・起床時刻のズレが大きくなると、疲れを感じやすくなるなどの不調だけでなく、起床時の目覚め感や睡眠の満足度などの睡眠の質も悪化することが確認されています。

平日の睡眠と制約のない休日の睡眠との差によって引き起こされることを「ソーシャル・ジェットラグ」(社会的時差ボケ)と呼びます。

出典:「睡眠不調に関するインターネット調査」(大塚製薬)

また別の報告では、健康な人でも、いつも通りの睡眠リズムであった金曜の夜と比較して、週末だけいつも通りの睡眠から約3時間遅く起きるようにした場合、 わずか2日の就寝・起床リズムのずれにより唾液へのメラトニン分泌開始時刻が日曜の夜では遅れ、翌週前半の疲労感や日中の眠気が悪化するという結果につながりました。
出典: Taylor A, et al. Sleep Biol Rhythm. 2008;6:172-9.

体内リズムを崩さない方法

1.朝、日光を浴びる
朝起きて太陽の光を浴び、体内時計をリセットしましょう。

2. 朝、白湯を飲む
白湯で体温を上げることで、体を目覚めさせます。また、胃腸全体が活性化して消化力が高まりますので、朝食の前がお勧めです。

3.朝食をとる
起床してから2時間以内に朝食を食べることで体内の様々な臓器を目覚めさせることができます。

4.眠くなったら、ちょっと昼寝
午後早めの時間は眠くなるのも正常な体内リズム。
15分以内であれば昼寝を活用することも効果的です。

5.定期的に運動を
運動習慣がある人には睡眠の問題が少ないと言われています。ただし、寝る直前の激しい運動は避けましょう(注3)。

6.スマホやパソコンは早めにOFF
画面から出るブルーライトには目覚まし作用があります。ベッドに入ってからの利用などは控えましょう。

7.寝酒、喫煙、カフェインは避ける
寝酒は寝つきを良くしますが、途中で目が覚めやすくなります。タバコやカフェインには目覚まし作用があります。

8.寝る前にいったん体温を上げる
日本人を対象とする研究で、1日30分以上週5日以上歩くか、週5回以上の習慣的な運動習慣がある人には、寝つきが悪い、夜中に目が覚めるといった
訴えが少ない
という結果が出ています。睡眠・覚醒と体温は連動していて、深い眠りを得るには、カラダの中心部の体温(深部体温)を下げる必要があるのですが、運動によっていったん体温を上げておくと、就寝時の体温との落差が大きくなり、眠りに入りやすくなります。ただし、激しい運動は、かえって眠りを妨げることもあるので避けましょう。

また、入浴で体温を上げても、運動と同様の効果が得られます。41℃程度の熱すぎない温度のお風呂につかると、深い眠りが得られるようです。


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